Together, We Set the Rhythm アニュアルレポート 2009 2009年3月期 「音・音楽」の価値を世界に広げるヤマハ 1887 年、ヤマハの歴史は創業者山葉寅楠による1 台のオルガン修理に始まりました。 「音・音楽」を中心とした 以来ヤマハは120 年を越える発展の歴史を通じ、楽器を始め、 様々な価値を世界中の人々に提供する企業に成長しました。 ヤマハは今後も、事業を通じて新たな感動と豊かな文化を世界の人々とともに創りつ づけていきたいと願っています。 目次 財務ハイライト 01 コーポレート・ガバナンスとCSR 30 株主の皆様へ 02 コーポレート・ガバナンス 30 社長インタビュー 03 企業理念とCSR 33 役員一覧 34 特集 :Together, We Set the Rhythm お客様とともに創り出すヤマハのリズム 09 事業概要 16 財務セクション 36 営業概況 18 主要財務指標の推移 36 全体の概況 18 財政状態及び経営成績の説明及び分析 38 楽器事業 19 事業等のリスク 47 AV・IT 事業 23 連結貸借対照表 50 電子部品事業 24 連結損益計算書 52 リビング事業 25 連結株主資本等変動計算書 53 その他の事業 26 連結キャッシュ・フロー計算書 54 研究開発と知的財産 27 主要ネットワーク 56 研究開発 27 ヤマハの歩み 58 知的財産 29 組織図 60 投資家情報 61 Together, We Set the Rhythm ― お客様とともに創り出すヤマハのリズム ヤマハは、お客様の満足度を向上させることこそが ヤマハの存在価値であると考えています。本表紙に 掲げたメッセージには、お客様との良好な関係を大切 にしながら成長を続けることに対するヤマハの強い思 いが込められています。 見通しに関する注記事項 本アニュアルレポートに記載されている、ヤマハの計画、戦略及び将来の見通しにつきましては、現時点で入手可能な情報に基づき、ヤマハの経 営者が判断したものであり、リスクや不確定要素が含まれています。従いまして、実際の業績は事業を取り巻く経済環境、需要動向、米ドル・ユーロ を中心とする為替動向、技術革新の進展、知的財産訴訟の動向などにより、これらの見通しとは大きく異なる可能性があることをご承知おきください。 財務ハイライト ヤマハ株式会社及び連結子会社 3 月31 日に終了した各会計年度 百万円 百万米ドル* 2009 2008 2007 2006 2005 2009 会計年度: 売上高 営業利益 当期純利益(損失) 設備投資額 減価償却費 研究開発費 フリー・キャッシュ・フロー ¥ 459,284 13,845 (20,615) 22,581 17,912 23,218 (28,234) ¥ 548,754 32,845 39,558 24,394 20,289 24,865 79,225 ¥ 550,361 27,685 27,866 25,152 19,956 24,220 17,305 ¥ 534,084 24,135 28,123 22,882 18,944 24,055 7,406 ¥ 534,079 35,695 19,697 22,702 18,958 22,953 26,692 $4,675.60 140.95 (209.87) 229.88 182.35 236.36 (287.43) 会計年度末: 総資産 純資産** 有利子負債 ¥ 408,974 251,841 19,192 ¥ 540,347 343,028 21,036 ¥ 559,031 351,398 25,551 ¥ 519,977 316,005 28,474 ¥ 505,577 275,200 46,598 $4,163.43 2,563.79 195.38 円 1株当たり情報: 当期純利益(損失) 純資産** 配当金*** ¥ (103.73) 1,262.42 42.50 ¥ 191.76 1,646.44 50.00 米ドル ¥ 135.19 1,680.91 22.50 ¥ 136.04 1,532.62 20.00 $ ¥ 95.06 1,334.51 20.00 (1.06) 12.85 0.43 % レシオ: 自己資本比率** ** ROE(自己資本当期純利益(損失)率) ROA(総資産当期純利益(損失)率) 従業員数(人) 60.9% (7.0) (4.3) 62.9% 11.5 7.2 26,803 62.0% 8.4 5.2 26,517 25,992 60.8% 9.5 5.5 54.4% 7.4 3.9 25,298 23,828 * 米ドル金額は、2009 年 3 月31 日の為替レート1 米ドル=¥98.23 で換算しています。 **「純資産」 「 自己資本比率」 「 ROE(自己資本当期純利益率)」は、2006 年 3 月期まではそれぞれ「株主資本」 「 株主資本比率」 「 ROE(株主資本当期純利益率)」を開示しています。 ***「 1 株当たり配当金」は、2008 年 3 月期と 2009 年 3 月期はそれぞれ特別配当 20 円を含みます。 売上高 (単位:百万円) アジア・オセアニア・その他の地域 30,833 6.7% リビング 43,121 9.4% 400,000 71,237 15.5% 電子部品* 200,000 n n 06/3 07/3 08/3 09/3 その他事業の売上高 器事業の売上高 楽 営業利益及び当期純利益(損失) (単位:百万円) 欧州 楽器 21,975 4.8% 0 (単位:百万円) その他** 600,000 05/3 地域別売上高(2009 年 3 月期) 事業別売上高(2009 年 3 月期) (単位:百万円) 日本 86,810 18.9% 306,630 66.8% AV・IT 56,722 12.3% 234,844 51.1% 北米 66,392 14.5% 純資産及び ROE (単位:百万円) (%) 総資産及び ROA (単位:百万円) (%) 50,000 400,000 20.0 600,000 10.0 25,000 200,000 10.0 300,000 5.0 0 0 0 0 0 –25,000 –10.0 05/3 n n 06/3 07/3 業利益 営 期純利益(損失) 当 08/3 09/3 05/3 – n 06/3 07/3 08/3 09/3 資産 純 OE R * 電子機器・金属事業は、電子金属事業の譲渡に伴い、2009 年 3 月期より電子部品事業と名称変更いたしました。 ** レクリェーション施設の一部譲渡に伴い、2009 年 3 月期よりその他の事業にレクリェーション事業を含めています。 –5.0 05/3 – n 06/3 07/3 08/3 09/3 資産 総 ROA Annual Report 2009 01 株主の皆様へ 2009 年 3 月期の業績はヤマハグループにとって非常に厳しい結果となりました。 ヤマハを取り巻く経営環境は大きく変化していますが、より多くのお客様からの満足をいただけるよう、 一層の努力を重ねてまいります。 2009 年 3 月期の業績について ヤマハの存在価値 2009 年3 月期におけるヤマハグループは、楽器を始め、様々 120 年を越える歴史のなかで、ヤマハは「音・音楽」を中心と な分野で新製品を投入し、お客様から高い評価をいただきまし した様々な価値を世界中の人々に提供してきました。お客様と たが、期の前半における原油価格や原材料価格などの上昇、米 のかかわりのなかで、お客様の満足度をより向上させることに、 国のサブプライムローン問題に端を発した世界的な景況感の悪 ヤマハの存在価値があると思っています。今後とも、お客様と 化、さらには、期の後半での急激な円高の進行といった外部環 の絆をさらに強固なものとし、お客様の満足度を高められるよう 境要因もあり、非常に厳しい業績となりました。 に努力してまいりたいと考えています。 業績改善プログラムの実行 想定を超える世界経済の減速による収益の低下に対応するた 引き続き、ヤマハへのご支援とご鞭撻をお願いいたします。 2009 年 7 月 め、ヤマハは2008 年 11 月に「経営改革委員会」を設置し、業績 改善への全社取り組みを開始しました。短期的な収益改善施策 としての経費の削減、投資見直し、販売価格の引き上げなどを 行ったほか、中長期での事業ポートフォリオの方向づけを議論し ました。 代表取締役社長 梅村 充 02 Yamaha Corporation 社長インタビュー Question 1 2009年3月期の業績について、どのように評価していますか? 景況感の悪化などから、当初計画は達成できませんでしたが、 中期経営計画「 YGP2010」で打ち出した施策を着実に実行できたと考えています。 2009 年 3 月期は、電子楽器、アコースティックギター、電 子ドラム、AVアンプなどの新製品を発売し、お客様から好意 的な評価をいただきました。一方で、世界的な景気の減速、 期前半での原材料価格などの高騰、期後半では急激かつ急速 な円高の進行といった外部環境の悪化もあり、売上高は前期 に比べて減収、206 億円の最終損失を計上するなど、厳しい すなわち、当初計画した施策を着実に進め、ピアノ工場を 始めとする楽器製造拠点の再編が進んだほか、ギターや電子 ドラムは北米市場を中心に高評価を得ることができました。 音楽ソフト事業もおおむね順調に推移しました。また、重点 市場のエマージング市場、とりわけ中国では 2 桁成長を達成 することができました。 結果となりました。また、楽器・音響・音楽ソフト、AV・IT 、 半導体などの The Sound Company 領域においては、新た な成長の芽を十分に育てることができなかったことが反省 点として残りました。 楽器事業では、米国や日本などでハイエンドのグランドピ アノが想定以上に落ち込みました。また、PA 機器も、期後半 以降、特に法人向けビジネスが伸び悩みました。電子部品事 業においては、これまで成長を牽引してきた携帯電話用音源 事業の位置づけ The Sound Company 領域 楽器・音響・音楽ソフト AV・IT 半導体 LSI に代わる新デバイスの開発を進めてきましたが、残念な がら当初想定していたような成果を出すことができません でした。 その結果、中期経営計画「 YGP2010」の数値目標達成は 、 実質的に困難と判断せざるを得ない状況です。ただ、私自身 が「 YGP2010」で打ち出した方向性に沿った施策の展開はで きたととらえています。 音・音楽・ネットワーク関連技 術を基盤として、楽器・音響・ 音楽ソフト、AV・IT 、デバイス 領域における事業の深化、拡 張、創造を通じて、グループの 成長を牽引 多角化事業領域 リビング * PT レクリェーション ゴルフ *PT:プロダクティブ・テクノロジー ( FA・金型・自動車用内装部品) これまでの事業運営で培った独 自の技術と感性を生かし、各業 界における強固なポジション確 立と健全な事業運営により、グ ループの企業価値増大に貢献 Annual Report 2009 03 Question 2 中期経営計画「YGP2010」は実質的に困難と判断されたようですが、 当初の想定と違った部分はどのようなところでしょうか? 世界的な景気減速や急激な円高の進行は予想を超え、当初描いていたシナリオどおりとはなりませんでした。 2010 年 3 月期は、中期経営計画「 YGP2010」の最終年度と 加え、新商品の開発遅れや一層の競争激化が進み、一部事業か なりますが、目指した数値目標の達成は極めて困難と考えてい らの撤退を含む事業構造改革に着手することになりました。 ます。そのため、2010 年3 月期を、急激に変化する経営環境へ 「 YGP2010」が未達となることは、私自身の事業環境認識の の対応と経営基盤の再構築、次期中期経営計画への方向づけ 甘さなど、素直に反省しなければならない点は多々ありますが、 のための事業年度と位置づけを変更することとしました。また、 楽器及び音関連事業での成長、多角化事業での収益性改善を 市況の急速な悪化により期待を大きく下回る結果となったことに 柱としていく考え方そのものに変更はありません。 The Sound Company 領域での成長戦略の進捗状況 音楽・楽器 分野 ピアノ事業(トータルピアノ戦略) ハイブリッドピアノAvantGrand 開発 トータルピアノ戦略を具現化するマーケティング施策の導入 ギター事業 品質向上と供給力強化(中国・インドネシアでの製造改革) 北米でのエレクトリック・アコースティックギターの 大幅な拡販によるシェアアップ 音楽ソフト事業 有望アーティストの開拓 音響 分野 業務用音響機器事業 NEXOブランドのDSPアンプ発売 国内業務用音響機器設備エンジニアリング子会社経営統合 AV機器事業 フロント・サラウンド・システム商品のラインアップ拡充 デスクトップオーディオ基盤強化 音・ネットワーク 分野 会議システム事業 販路開拓の遅れ 半導体事業 デジタルアンプの売り上げ伸長 シリコンマイクの事業化断念 04 Yamaha Corporation 市場政策 エマージング市場 店舗・教室政策の推進 ロシア現地法人営業開始 インド現地法人営業開始 アコースティック楽器生産拠点整備 【日本】 マザー機能・付加価値の追求 掛川:ピアノ拠点統合進行 ヤマハミュージッククラフト (株) : 付加価値の取り込み(管弦打楽器) 【インドネシア】供給力・製造力の強化 YI*:ピアノ増産対応と工程一貫化 YMMI*:ギター増産 YMMA*、YMPI*:付加価値の取り込みと増産対応 【中国】品質・コスト・供給力の追求 杭州:ピアノ、ギター増産対応 蕭山:管楽器工程再編 * YI:PT. Yamaha Indonesia YMMI:PT. Yamaha Music Manufacturing Indonesia YMMA:PT. Yamaha Music Manufacturing Asia YMPI:PT. Yamaha Musical Products Indonesia Question 3 業績改善プログラムの内容について教えてください。 私自身が委員長である「経営改革委員会」を通して、 短期的な収益改善と、中長期的な事業の方向性の検討を進めています。 2008 年 11 月に私自身が委員長となり、全取締役が参加する 一眼レフデジタルカメラ用のマグネシウム成形部品事業からの 「経営改革委員会」を設置しました。この委員会では短期的な業 撤退、半導体シリコンマイクの事業化断念などの決定をしまし 績の改善施策の立案・実施及び中長期での事業の方向性などの た。また、ピアノ生産拠点である台湾山葉楽器製造股份有限公 検討を進めています。短期的な収益改善という観点からは、原 司、Kemble & Company Ltd.(イギリス)の解散も決定しまし 価の低減と経費の削減、投資の見直しを行い、為替変動対応と た。そのほか、固定資産、のれんの減損処理なども実施し、事 しての販売価格の引き上げなどを実施したことで、2009 年 3 月 業体質の強化に努めました。これら一連の事業構造改革は、今 期の収益の改善につなげることができました。 回で終了ということではなく、今後も継続していきます。 併せて、事業ごとのレビューや方向性を検討し、不採算事業 同時に、2010 年の春をめどに次期中期経営計画を策定し、事 への対応の検討や損益の改善を図っています。その結果として、 業の方向性を明確にしていきます。 主な決定事項 主な事業構造改革と減損処理 一時費用* 期待効果 マグネシウム成形部品事業からの撤退 8 億円 n 中期では、約 20 億円程度の効果期待 半導体シリコンマイクビジネス参入断念 4 億円 n 2010 年 3 月期では約 11 億円の効果 17 億円 n 2010 年 3 月期は約 1 億円の効果 ピアノ生産拠点再編 (台湾、イギリスのピアノ工場閉鎖) 半導体及びレクリェーション固定資産、のれんの減損 n 中期では、約 5 億円程度の効果期待 186 億円 2010 年 3 月期の効果は32 億円 (楽器14 億円、半導体17 億円、レクリェーション1 億円) n *一時費用は2009 年 3 月期で計上済み Question 4 事業の存続、撤退の判断基準と考え方について教えてください。 2 期連続で赤字損失が見込まれる事業については、議論の その際、将来の事業の収益性に加え、その事業が、ヤマハな テーブルに載せ、事業の存続を判断することとしています。 らでは、ヤマハだからできる商品・サービスを提供し、ブランド 貢献を含め市場から評価をいただけるかどうかを判断基準とし ています。 Annual Report 2009 05 Question 5 ピアノ事業の収益改善に向けた施策について教えてください。 減産や生産拠点の統廃合を進めるとともに、自動演奏ピアノやサイレントピアノTM の拡販を強化します。 2009 年3月期のピアノの販売は、中国市場で中国製普及価格 約することを決定しました。また、2010 年夏を目指して進行中 品が予定どおり伸長したものの、景気減速の影響を受け、国内 の日本でのピアノ工場の統合集約化を急ぎ、統合効果を早期に 市場や米国市場で中高級の日本製ピアノの販売が大きく減少し 実現したいと思っています。 ました。その結果、日本の工場では、大幅な減産を余儀なくさ 販売面では当社の強みである自動演奏ピアノ、サイレントピア れ、ピアノ事業の収益が悪化しました。 ノなどの拡販を強化していきます。また、先に買収したオースト グローバルな観点からの生産拠点見直しの一環として、より リアピアノメーカー L. Bösendorfer Klavierfabrik GmbH(ベー 一層の生産効率改善のため台湾とイギリスのピアノ工場を閉鎖 ゼンドルファー) とヤマハのコンサートグランドピアノとの両輪で、 し、日本、中国、インドネシアの3 拠点にヤマハピアノの生産を集 プレミアムピアノ領域での成長を目指します。 Question 6 2010年3月期の見通しについてお聞かせください。 2010 年 3 月期の市場環境は、世界的な景気の減速と円高の もに、前述の業績改善プログラムの実行を継続していきます。 定着により、厳しさが継続し、対前期減収営業減益を予想して 併せて、将来の成長に向けた枠組みづくりにも取り組んでいき いますが、最終利益は黒字化を目指します。それぞれの事業・ ます。 地域でのニーズに沿った高付加価値商品を着実に投入するとと Question 7 今後成長を期待できる領域はどのような分野でしょうか? 電子ドラムやエレクトリック・アコースティックギターは高評価を得ています。 また、エマージング市場での成長を期待しています。 厳しい経済環境のなかでも新しい商品カテゴリーの電子ドラ ブラジルを中心とする中南米市場も、引き続き2 桁成長を期待 ムなどは、市場も拡大しており、2009 年 3 月期は前期比 2 桁の しています。 成長を達成しています。また、エレクトリック・アコースティック また、ここ数年、比較的順調に拡大を続けてきた東欧市場は、 ギターも高評価を得ています。 足元では需要の伸び悩みが見られますが、もともと音楽文化が PA 機器は、経済環境の悪化により、足元では停滞感があるも 根づいている地域でもあり、経済環境が好転すれば多くの事業 のの、中期では成長が期待できると考えています。 機会があるものと考えています。引き続き販売網の強化に取り 市場別に見ますと、中長期では、アジア、中南米、ロシアなど 組んでいきます。 のエマージング市場での成長を期待しています。 大きな期待を寄せていたロシア市場は、資源価格の急落を受 中国では、ピアノ販売で、引き続き2 桁成長を目指すとともに、 けて市場環境が一変しました。当面は、販売網の整備や人材の ヤマハ音楽教室の展開などで需要の拡大を図り、電子楽器やPA 育成を着実に進め、次の成長に向けた基盤整備を優先させます。 機器などの販売にも積極的に取り組んでいきます。 06 Yamaha Corporation Question 8 今後のバランスシートの考え方について教えてください。 不透明な事業環境や戦略投資の必要性を踏まえ、手元流動性を高めたいと考えています。 2009 年3月期は、自己株式取得、配当の支払い、法人税の支 そのために、利益の拡大はもとより、在庫の削減、固定資産の 払いや設備投資、在庫の増加で、急激に手元の現預金が減少し 圧縮など運転資金からキャッシュを稼ぎ、財務体質の強化にも ました。ヤマハの現在の事業規模では、300 億円程度の手元資 努めたいと思っています。また、必要があれば借り入れによる 金が必要だと考えていますが、事業環境の先行き不透明感が増 資金調達も行っていきます。資本効率の観点から、エクイティ していることや事業成長のための資金需要に機動的に対応する ファイナンスによる資金調達については現時点では考えていま ため、手元流動性を少しでも高めていきたいと考えています。 せん。 Question 9 M&Aの考え方について教えてください。 既存事業とのシナジー効果により成長が加速する案件であれば、前向きに検討します。 M&Aについては事業を取り巻く環境変化がますますスピー ります。2008 年 3 月期にはプレミアムピアノの製造販売を行う ド感を増すなかで、不可欠な経営戦略の一つと考えています。 オーストリアのベーゼンドルファー社や、日本で業務用音響機 M&A 案件を判断するに当たっては、現在のヤマハの経営資源 器事業を行う不二音響(株) をグループに迎え入れ 、グループ では実現できない事業を展開し、ヤマハの既存の事業とのシ 内での事業展開はそれぞれ軌道に乗りつつあります。2009 ナジーにより、成長を加速化できるのかどうかが基準となりま 年 3 月期においてもフランスの大手業務用スピーカー製造販 す。また買収先が、人間が営む企業体であることを踏まえれ を買収しました。今後のヤマハの 売会社 NEXO S.A.(ネキソ) ば、事業に対する考え方がヤマハと一致することが大前提とな PA 機器事業が強化されるものと期待しています。 Annual Report 2009 07 Question 10 株主価値の向上についてはどのように考えていますか? 配当を通じた適切な利益配分と、 必要に応じ、資本効率を高めるための自社株買いなどを総合的に考えていきます。 資本主義社会では、会社は持続的に成長することが求められ 株主価値を向上させることは最も重要な経営課題の一つであ ますが、現状は急激な環境変化に直面し、短期的な収益改善を ると思っています。そのため、ヤマハは今後も配当を通じた適 優先せざるを得ない状況にあります。 切な利益配分や、必要に応じ、資本効率を向上させるための自 ヤマハが長期的に成長する源泉は、ヤマハの存在価値をいか 社株買いなどを総合的に考えていきます。配当に関しては継続 に向上させることができるかということだと考えています。私 的かつ安定的な配当を基本とし、連結配当性向40%を目標に利 の言う存在価値とは、会社が世の中で担う役割のことであり、す 益還元に努めます。 なわち、ヤマハの商品・サービスの提供を通じてお客様にどれ なお、2009 年 3 月期については、2008 年 3 月期に実施した だけ満足を与えられるかということです。 ヤマハ発動機(株)株式の一部売却に伴う株主還元の特別配当 そのためには、常にお客様の視点で発想し、検討し、議論し、 20 円を含め、1 株につき42.5 円(年額)の配当とさせていただ 判断する、という 『顧客主義』 と、ヤマハの商品・サービスは、ど きました。2010 年3 月期は、20 円の特別配当と合わせて1 株に の価格帯においても高品質を崩さないという 『高品質主義』の つき年間配当金 30 円を予定しています。 姿勢を貫きたいと思います。 08 Yamaha Corporation 特集 Together, We Set the Rhythm お客様とともに創り出すヤマハのリズム ヤマハは、お客様の満足度をいかに向上させるかがヤマハの存在価値で あると考えています。今回の特集では、お客様とヤマハとの間のユニー クな関係を、いくつかの例をあげて示すことにより、ヤマハが持つ「見え ない価値」を知っていただきたいと思います。 Communicating the Joy of Music 音楽の楽しさを伝える 音楽は私たちにとって、最も純粋なコミュニケーション手段の一つです。音楽によって、人々は、国や言葉の 壁を越えて、感情や感動を共有することができます。ヤマハは、その音楽の楽しさを人々 の生活のなかで育 み、一人でも多くの人に伝えたいと願い、ヤマハ音楽教室をスタート。55 年に渡り、世界の多くの人々と音楽 の楽しさを共有してきました。 ヤマハ音楽教室について ヤマハ音楽教室の生徒数は、国内約53 万人、現在までに延 ヤマハ音楽教室は1954 年、東京で開設した幼児のためのオ べ 500 万人以上の卒業生を世に送り出しています。また海外で ルガン教室から始まりました。以来「子どもの可能性を引き出 は、1965 年、米国・ロサンゼルスでの開設を皮切りに、今では し、音楽によって自分を表現する能力を養う」という目標を掲げ 世界 40 以上の国と地域で約 18 万人の生徒が学んでいます。 教室活動を重ねることで、 「適期教育」、 「グループレッスン」、 「創造性の育成」を柱とするヤマハ独自の教育メソッド「ヤマハ 音楽教室を通じたヤマハの価値創造 音楽教育システム」を確立しました。ヤマハ音楽教室では、この 日本における展開 ヤマハ音楽教育システムの下、総合的な音楽教育を展開してい 日本では、子どもを取り巻く環境の変化や少子化が進む反面、 ます。 趣味の多様化や成人層のライフスタイルの変化などが顕著になっ てきています。また、近年、レッスンそのものの楽しみ方に加え、 ヤマハ音楽教室システムの特長 ・適期教育 「伸びる時期に伸びる力を育む」子どもの発達に合わせ最も適し た素材と指導法で学べる様々なコースを設定しています。 ・グループレッスン 仲間とのかかわりのなかで音楽を学ぶことでより大きな喜びを 感じることができます。またアンサンブルなどを通し音楽の総合的 な理解が深まり、豊かな音楽体験ができます。 ・創造性の育成 音楽を多面的にとらえる学習を通して、感受性や想像力を働か せ創造する力を育みます。 ・保護者同伴 (4、5 歳児 「おとのおもちゃばこ」 (1 歳児対象)から「幼児科」 対象) までの幼児期コースでは、子どもたちが安心して参加でき、 より音楽への興味や意欲をもてるよう保護者同伴でレッスンを行っ ています。 10 Yamaha Corporation 快適なレッスン環境、営業時間、コースの多様さなどが強く求め られるようになってきました。ヤマハでは、こうしたお客様の要 望や環境の変化に対応し、大都市のターミナル駅に隣接した大 人専用教室や、郊外のロードサイドを中心に子ども・大人の教室、 英語教室を全国統一規格で展開するユニスタイル TM 教室など会 場の整備をするとともに、鍵盤楽器、管弦打楽器からボーカル といった多様なコース展開をしています。 また、新しいレッスン形態として、インターネットを使って自宅 で受講できるミュージック レッスン オンラインや、楽器を購入す ることなく気軽に演奏やレッスンを楽しむことができるよう、楽 器レンタルシステムを提供しています。 世界各地に広がるヤマハの音楽教室 スウェーデン ドイツ オランダ ポーランド ベルギー スイス リトアニア イギリス チェコ フランス イタリア ポルトガル スペイン ハンガリー スロバキア オーストリア カナダ 韓国 ギリシャ ベトナム 中国 香港 台湾 メキシコ フィリピン タイ マレーシア アメリカ 日本 グアテマラ パナマ コスタリカ ベネズエラ コロンビア シンガポール インドネシア ペルー パラグアイ オーストラリア ニュージーランド アルゼンチン ウルグアイ 海外での展開 アジアでは、1966 年タイでの教室開設から始まり、インドネシ ヤマハ独自の教育メソッドによる音楽教室をグローバルに展 ア、シンガポールなど、ほかの東南アジア諸国でも相次いで展 開することにより、世界の音楽人口の拡大に貢献しています。 開しました。各国で40 年に及ぶ歴史を積み重ね、音楽教育の重 その展開に当たって、各国の言語、文化習慣や行政との融和を 要性に対する理解も広がっています。比較的近年になって教室 図り、各国で現地講師を育成し、地域に根ざした音楽教室の展 を開設した韓国や中国でも、ヤマハ音楽教室のシステムに対し 開を行っています。 て十分な理解、支持が得られ会場や生徒が増えています。特に 欧州では、1967 年ドイツ・ハンブルグに欧州最初のヤマハ音 中国では、経済発展を背景に子どもへの音楽教育が熱を帯びて 楽教室が開設されました。幼児科・ジュニア科などの子どもの おり、その需要に応えるために、ヤマハでは上海、北京、広州 コースを始め、大人のためのピアノや管楽器などの各種コース に直営拠点を設け、これらの拠点を中心として講師育成、運営 を展開しています。 研修に努め、周辺都市への教室展開を拡大しています。 Column スウェーデン メキシコ 日本 中国 音楽教室の生徒とのつながり 「とても楽しみながら自然に 音楽を身につけているようです」 「娘と一緒に音楽体験ができて 母としての喜びを実感しています」 トーマス・エッペンさん シェロミタ・スリスティアニ・ディアさん ヤマハ音楽教室 ハンブルグ (ドイツ) 幼児科 2 年目の生徒のお父様 ヤマハ音楽教室 ジャカルタ (インドネシア) 幼児科 2 年目の生徒のお母様 私の娘は、幼児科のレッスンを受講していますが、子どもの 幼児科のレッスンには保護者も参加するので、レッスンを通 年齢に合わせた教育のおかげで、とても素晴らしい影響を受 じて娘と仲良くできるだけでなく、母親としての喜びを実感し けています。日々、音楽を聴いたり歌ったり、キーボードもと ています。娘の音楽体験は同時に、私の音楽体験にもなって ても上手に演奏し、まるで音楽が第二言語のように娘の生活 います。 に溶け込んでいるようです。ヤマハ音楽教室に通っているお 音楽を習うことによって、子どもたちは、感情のコントロール かげで、自然に、どんどん音楽が身についている様子で、 音 や前向きな性格など、とても重要な素養を身につけています。 楽生活 を楽しんでいます。 私は、ヤマハ音楽教室に満足しています。 Annual Report 2009 11 Refining Our Expertise アーティストから学ぶ 優れた楽器は、アーティストと楽器メーカーとの良好な関係のなかで生まれます。音づくりにこだわるヤマハ の技術者が、音楽専門家であるアーティストと継続的に対話し良好な関係を構築することは、世界最高の楽器 づくりにつながっています。 ヤマハのアーティストリレーション活動について アーティストからの信頼と商品開発力の向上 多くのユーザーに愛される楽器を開発する上で、アーティス 「トップアーティストが満足して使う楽器」は、一般のプレイ トとの対話を重ね技術革新とノウハウの蓄積を続けることは極め ヤーにとって、憧れであるとともに演奏を楽しむための参考と て重要です。その意味で、ヤマハにとって、影響力の大きいトッ なり、楽器選びのきっかけとなることもあります。著名なアー プアーティストとの良好な関係を構築・維持することの重要性は ティストがヤマハの楽器を愛用し、そのアーティストから信頼さ 計り知れません。 れ支持されるということが、高品質な楽器のブランドイメージを ヤマハのアーティストリレーション活動の歴史は1969 年、20 生み出しています。 世紀最大のピアニストと称されるスヴャトスラフ・リヒテルがヤマ アーティストから求められる音は、その時代ごとの音楽の流 ハのピアノを弾き始めた頃に始まりました。以来、ピアノに加え、 行や演奏ジャンルなどにより変化しています。また、アーティス ギターやドラム、シンセサイザー、管楽器といった楽器について ト自身の音の好みや楽器への想いも様々です。そのような要求 も活発に活動を行っています。 に応えるため、ヤマハは、世界各地の拠点でアーティストとの 密接な関係を維持し、求められる音に応えることで、楽器の表 現力のさらなる向上に努めています。 例えば管楽器では、管楽器奏者をサポートするため、世界各 地に設けたアトリエでアーティストとの対話を重ねながら、理想 の音、アーティストの創造性を高める楽器を追求しています。 ピアノでは、調律技術者がピアニストと一緒になって、世界各 地のコンサートで、お客様に最高の演奏を楽しんでいただける ように努めています。また、ピアニストとの良好な関係を構築し、 ピアニストの意見をピアノづくりに生かすよう、努力を重ねてい ます。 ヤマハのピアノを弾くリヒテル 撮影:昆田 亨 提供:The Sviatoslav Richter estate 12 Yamaha Corporation ヤマハのアーティストリレーション拠点 n ピアノ 管楽器 電子楽器 ギター n 打楽器 n ドラム n n n ロックやジャズ系の、ギター、ドラム、電子キーボードといっ ターや高級ドラムを中心に、プレイヤーとの交流を深め、プロの た楽器のアーティストリレーション活動は、演奏活動のサポート ニーズを把握し、商品開発に役立てています。同様に、同国の など様々な活動を通じて展開しています。例えば米国・ハリウッ ナッシュビルでもYamaha Corporate Artist Affairsが主 体と ド のアーティスト リ レーション 拠 点 であるYamaha Artist なって、エルトン・ジョンやポール・マッカートニーなどといった Services Hollywoodでは、エレクトリック・アコースティックギ トップアーティストとの交流を行っています。 アリシア・キーズ (ピアノ) エルトン・ジョン (ピアノ) フィル・ウッズ (サクソフォン) マリア・ジョアン・ピリス (ピアノ) ジョー・ボナマッサ (ギター) キース・カーロック (ドラム) Column アーティストとのつながり 「今までにない 新しいトランペットを目指して」 ジョン・ハグストロム氏(写真右) シカゴ交響楽団トランペット奏者 ボブ・マローン (写真左) Yamaha Atelier Los Angeles 責任者兼 Yamaha Artist Services, Inc.アトリエ責任者 ヤマハのトランペットの完成度をさらに高めるためには、超 一流のアーティストの協力を得ることが必要であると考えまし 日米の素晴らしいヤマハスタッフとともに、シカゴアーティ た。アーティストたちの様々な理想や経験を楽器づくりに ストモデルトランペットの開発に携われたことは大変光栄です。 フィードバックしていく上で大切なことは、オープンなコミュ この 7 年間、世界中のプロに愛される最高の楽器を開発する ニケーションとチームワークです。アーティストとともに日々 ために一緒に取り組んできましたが、その結果、今では多くの 対話を続けることで多彩なアイデアを引き出すことができま トッププロがこの楽器を真っ先に選んでくれています。私は、 す。ヤマハは、世界各地に数多くの優秀なスタッフを擁してお 最高の品質のものを作ろうと絶えず努力をするヤマハの姿勢 り、そのスタッフがさらにアーティストとの結びつきを深める に大変感動しました。そして、シカゴ交響楽団でこのトランペッ ことで素晴らしい最高性能・最高品質の管楽器を生み出せる トを演奏できることを、私は大変誇りに思っています。 と信じています。 Annual Report 2009 13 Forging Strong Partnerships 信頼関係を築く 広い空間において、正確かつ心地よい音を伝える理想的な音空間の実現は、音楽・文化・芸術の領域を始め として、様々な分野に広がる可能性を秘めています。ヤマハは、お客様の求める音空間への提案とサポート を通じ、多くのお客様と長期にわたる良好な関係を続けています。 ヤマハの音空間ビジネスの展開について 地道な保守、メンテナンス業務を通じた信頼の獲得 ヤマハの業務用音響機器は、世界中の劇場、コンサートホー 業務音響設備ビジネスでは、お客様からの信頼を獲得するに ル、スポーツ施設、教会などで使われ好評を博していますが、 は、設備の設置にとどまらない保守、メンテナンスサービスを継 ヤマハはこうした施設向けに、機器の納入のみならず、電気音 続的に行うことが重要です。音響設備の保守・メンテナンスで 響設備の調査・企画から設計・施工・保守に至るまでの包括的な は、直接システムを使用するオペレーターの生の声を聞きなが ソリューションを提供し、充実したサポート体制でより良い音空 ら、きっちりとした保守を努めることも快適な音空間の実現につ 間づくりに貢献しています。 ながります。 ヤマハサウンドシステム (株)の誕生 今後のビジネス展開 日本では2009 年 4月、不二音響(株) とヤマハサウンドテック ヤマハサウンドシステムは、劇場やコンサートホール、ドー (株) が統合し、ヤマハサウンドシステム (株) が誕生しました。電 ム、アリーナなどのスポーツ施設への最高の音空間の提供を通 気音響設備分野で長い歴史を持ち、国立劇場、新国立劇場など じ、日本国内では既に圧倒的なプレゼンスを有しています。 2,000 件を超える施工実績を有する2 社の統合により、両社に蓄 一方、近年、例えば大規模な商業施設、駅や学校といった公 積された技術力、顧客対応力などのシナジー効果を結集し、お客 共性の高い共有スペースなど、心地よい音を伝える「理想的な 様から一層の信頼の獲得と、より良質のサービスの提供ができる 音空間」へのニーズは多方面に拡大する可能性を秘めていま ものと考えています。 す。こうしたニーズに対応するため、劇場やコンサートホール などで培ったノウハウを生かし、より良い音空間づくりに貢献し たいと考えています。 ヤマハサウンドシステムの業務プロセス 調査・企画 調査・企画 14 Yamaha Corporation 提案 設計 プランニング 施工 開発 契約 着工・製造 施工 アフターケア 音響調整 測定 検査 竣工・引渡し 保守 メンテナンス 改修計画 調査 施工事例 東京国際フォーラム 1997 年 1 月開館 国際都市東京のシンボルとして、また、文化と情報を国際規模で発信する施設として丸の内 地区に誕生しました。5,000 席を超える国内最大級のホールAを含む、4 つのホール棟と展示 ホールなどで構成されています。地域の魅力あるまちづくりの核として、社会に貢献していくと 同時に、最高の品質とサービスを提供する、リーディング・コンベンション&アートセンターです。 ホールAでは、空間の響きを音場制御技術でコントロールし、音楽演奏やスピーチに最適な が採用されています。 音響をサポートする、ヤマハの音場支援システム ( AFC*) * AFC:Active Field Control 国立劇場小劇場 1966 年 11 月開館 2007 年 3 月改修 人形浄瑠璃文楽、歌舞伎など世界無形遺産に指定された日本の伝統芸能の鑑賞、保存が可 能な劇場の改修工事では、オーディオファイルの再生システムや最新のデジタル音響システム が採用されました。クリアなデジタル音響システムが、伝統芸能を守る劇場音響を支援します。 いわき芸術文化交流館アリオス 2008 年 4 月開館 いわき市民の文化・芸術などの創造的な活動の拠点として整備された交流館は、ホールで 公演を鑑賞するだけでなく、普段からの憩いの場としての機能も備えており、隣接する美術 館、文化センターとともに文化交流ゾーンを形成しています。大ホール、中劇場、小劇場、音 楽小ホールと、充実した稽古場があり、多岐にわたる演目を、充実したデジタル音響システム がサポートします。 サントリーホール 1986 年 10 月開館 「世界一美しい響き」を基本コンセプトに掲げ、1986 年に誕生した日本初のヴィンヤード形 式の本格的なコンサート専用ホールは、開館 20 周年を機に、響きの素晴らしさと雰囲気はそ のままに全館リニューアルが行われました。そのなかでヤマハサウンドシステムは、音響調整 卓、アンプ、吊りマイク装置などの設備を納入しました。 Column ホール・劇場の現場とのつながり 「ホールの特性に対応した音響サポートに 感謝しています」 浜本 和男様 開館当時はクラシック専用のコンサートホールとして、電気 音響設備の重要性は今ほど高いものではありませんでした が、近年はコンサート前のプレトークやレクチャーコンサートの サントリーホール 運営・総務統括 ように演奏だけでなくお話を交えてのコンサートも増えてきて ヤマハサウンドシステムには、サントリーホールオープン以 おり、電気音響の重要性も高まっております。残響時間の長 来、電気音響設備の施工及びメンテナンスをお願いしており いホールに、電気音響設備で、明瞭な拡声音を客席に満遍な ます。 く届けることは簡単ではありませんが、検討を重ね施工いた 2007 年開館20 周年を記念しての大改修工事(4 月−8 月閉 だいた結果、改修前に比べ格段に聞き取りやすくなりました。 館)の際には、開館以来使用してきたメインスピーカーを改修 メンテナンスを含め、クオリティーの高いサービスをご提供 するため、機種の選定やデザインの検討など、音響実験を含 いただいており感謝しております。 め大変ご苦労いただききました。 Annual Report 2009 15 事業概要 セグメント 主要製品及びサービス 楽器 n ピ アノ 電子楽器(電子ピアノ、エレクトーン®、 ポータブルキーボード、シンセサイザー 他) n 管楽器 (トランペット、フルート、サクソフォン 他) n 弦楽器 (ギター、バイオリン 他) n 打楽器 (ドラム、ティンパニー、マリンバ 他) n 教育楽器 (リコーダー、ピアニカ® 他) n PA機器 (ミキサー、パワーアンプ 他) n 防音室 (アビテックス®) n 音楽教室、 英語教室 n 音楽ソフト n 調律 n AV・IT n 電子部品 n AV機器(AVレシーバー、スピーカーシステム、 デジタル・サウンド・プロジェクター®、デスクトップオーディオ 他) n 業務用通信カラオケ n ルーター n 会議システム 半導体 * 電子金属事業は2007年11月30日に事業譲渡。 これに伴い、2009年3月期よりセグメント名称を電子部品事業に変更しました。 リビング システムキッチン システムバスルーム n 洗 面化粧台 n n その他 ゴ ルフ用品 自動車用内装部品 n FA機器 n 金型・部品 (マグネシウム成形部品、プラスチック成形部品 他) n レクリェーション (つま恋®、葛城北の丸®、葛城ゴルフ倶楽部®) n n * レクリェーション4施設は、2007年10月1日に事業譲渡。 これに伴い、レクリェーション事業は2009年3月期より、その他の事業に含めています。 16 Yamaha Corporation 売上高の内訳 売上高(単位:百万円) 営業利益(単位:百万円) 2009/03 66.8% 306,630百万円 306,630 2009/03 2008/03 2008/03 2007/03 2007/03 2006/03 2006/03 2005/03 2005/03 商品別売上高(単位:%) 19,198 地域別売上高(単位:%) 14.6 nピ アノ 子楽器 電 n 管 楽器・教育楽器 n 弦 ・打楽器 n PA機器 n 音 楽教室他 n 31.1 24.6 14.5 日本 北米 n 欧州 n 中国 n その他の地域 n n 4.6 43.2 21.9 10.5 7.3 11.9 15.8 売上高(単位:百万円) 12.3% 56,722百万円 4.8% 21,975百万円 営業利益(損失)(単位:百万円) 2009/03 56,722 2008/03 2007/03 2007/03 2006/03 2006/03 2005/03 2005/03 営業利益(損失)(単位:百万円) 2009/03 2009/03 21,975 2008/03 2008/03 2007/03 2007/03 2006/03 2006/03 –2,536 2005/03 n 半導体 n 電子金属 売上高(単位:百万円) 営業利益(損失)(単位:百万円) 2009/03 43,121 2009/03 2008/03 2008/03 2007/03 2007/03 2006/03 2006/03 2005/03 2005/03 売上高(単位:百万円) 6.7% 30,833百万円 –410 売上高(単位:百万円) 2005/03 9.4% 43,121百万円 2009/03 2008/03 2009/03 –305 営業利益(損失)(単位:百万円) 30,833 2009/03 2008/03 2008/03 2007/03 2007/03 2006/03 2006/03 2005/03 –2,100 2005/03 n その他 n レクリェーション n その他 n レクリェーション Annual Report 2009 17 営業概況 全体の概況 2009 年 3 月期はすべての事業セグメントで売り上げが対前期減少しました。 2009 年 3 月期のヤマハは、経営環境が厳しさを増すなかで、 引き続き高付加価値商品の開発や成長事業領域への積極的な投 資を行うとともに、中国を始めとするエマージング市場の開拓に 努めました。また、国内外の製造拠点の統廃合による収益力の 向上や、欧州販売子会社の再編による経営の効率化にも取り組 みました。 売上高 営業利益 (単位:百万円) (単位:百万円) 40,000 600,000 ムなどが堅調に推移したものの、すべての事業セグメントにおい て前期比で売り上げが減少しました。加えて、為替影響による売 り上げの減少約 349 億円、2008 年3月期に電子金属事業及びレ クリェーション事業の一部施設を譲渡したことによる売り上げの 減少約 143 億円もあり、連結売上高は4,592 億 84 百万円(前期 となりました。 比 16.3% 減少) n リビング 500,000 電子部品 AV・IT n 楽器 n 300,000 20,000 200,000 10,000 100,000 0 08/3 09/3 料価格などの上昇、為替影響(約 69 億円)、退職給付債務の利 差損、のれんの償却などにより、営業利益は138 億45 百万円(前 となりました。 期比 57.8% 減少) –10,000 08/3 09/3 *レクリェーション施設の一部譲渡に伴い、 2009 年 3 月期より当該事業をその他の事業に含めています。 事業セグメントの変更 2008 年 3 月期において電子金属事業を譲渡したことに伴い、2009 年 3 月期より当該事業の名称を 電子機器・電子金属事業から電子部品事業に変更しています。 また、2008 年 3 月期においてレクリェーション事業の 6 施設のうち、4 施設を譲渡したことに伴い、 2009 年 3 月期より当該事業をその他の事業に含めています。 2008 年 3 月期 2009 年 3 月期 楽器 楽器 AV・IT AV・IT 電子機器・電子金属 電子部品 リビング リビング レクリェーション その他 n 400,000 0 損益については、減収に加え、減産に伴う利益の減少、原材 その他 n レクリェーション* 30,000 販売の状況については、楽器事業においてギターや電子ドラ 18 Yamaha Corporation n その他 楽器事業 2009 年 3 月期の業績概況 事業の強み 売上高 3,066 億 30 百万円(前期比 9.8% 減少)、営業利益 nピ アノ、管楽器などのアコースティック楽器における音 191 億 98 百万円(前期比 31.3% 減少)。 づくりとクラフトマンシップ 商品別では為替影響もあり、すべての商品群で前期比減 n ーティストリレーション活動を通じた高品質商品の開発 ア 収。特にピアノと管楽器が減少。地域別では北米、日本で前 n 最先端のエレクトロニクス技術を生かした楽器づくり 期比減収、欧州はほぼ前年並み。中国などエマージング市場 n PA 機器などでのデジタル・ネットワーク技術 は堅調。 n 各国に根づいた販売現地法人を通じたグローバル戦略 n 音楽教室展開による音楽普及活動 主要指標推移 売上高/営業利益 (単位:百万円) (単位:百万円) 05/3 売上高 06/3 07/3 08/3 400,000 09/3 40,000 営業利益 14,183 14,132 22,037 27,924 19,198 設備投資額 11,311 11,877 14,817 16,472 14,793 減価償却費 7,819 8,632 9,242 10,156 10,042 研究開発費 11,183 11,356 11,437 11,597 10,780 n 300,000 30,000 200,000 20,000 100,000 10,000 0 0 05/3 2009 年 3 月期の業績 売上高 (左軸) 営 業利益 (右軸) n ¥302,617 ¥314,078 ¥325,989 ¥340,021 ¥306,630 06/3 07/3 08/3 09/3 管楽器は、すべての地域で減収となりました。北米では特に 主要商品別レビュー エレクトリック・アコースティックギターと 電子ドラムが好調 ドラムが北米を中心に大きく販売を伸ばしました。 ピアノは日本及び北米を中心に、高額品の販売が減少しまし PA 機器は、期後半で、景気減速の影響を受けましたが、為替 たが、中国では、販売網の拡充に加え、中国工場製商品の投入 を除いた実質ベースでは、新たにフランスの業務用スピーカー 効果もあり、成長を継続しました。 を連結対象に加えたことにより メーカー、NEXO S.A.(ネキソ) 電子楽器は、景気の減速影響を受け、日本と北米で減収とな 微増となりました。 2008 年秋以降に急速に鈍化し、日本でも需要が縮小しました。 弦打楽器では、エレクトリック・アコースティックギターと電子 りました。欧州は、ポータブルキーボードの新商品寄与もあり、 堅調に推移しました。 エレクトリック・アコースティックギター:APX・CPXシリーズ 魅力的な新商品の投入、積極的なアーティストリレーション活 動や販売網の開拓により、ヤマハのエレクトリック・アコース ティックギターは特に北米市場で伸長し、市場シェアが高まり ました。 インドネシア製アップライトピアノ:b3 インドネシア製b3 は、その高いコストパフォーマン スが欧州市場で評価され、ヤマハのシェアアップ に貢献しました。 ポータブルキーボード:Tyros®3 ドイツを中心とした欧州で、プロの演奏家からの安定し た需要が好調を支えました。 電子ドラム:DTXPLORER® 電子ドラムは、アコースティックドラムとは別の新たな市 場を形成しつつあります。ヤマハのDTXPLORERはロン グセラーとして堅調に推移しました。 Annual Report 2009 19 地域別レビュー 日本 大型鍵盤楽器の需要縮小と低価格化が進み、売り上げが減少しました。 2009 年 3 月期の業績概況 期後半以降の急激な市況悪化の影 響を受け、総じて高額商品の需要が減 市場動向・特性 地域別売上高 (単位:億円) 日本では、少子化、ピアノの普及率が 1,500 進 んだことで、この 30 年 でア コース ティックピアノ市場が10 分の1 以下まで 少しました。特にアコースティックピア ノの苦戦が深刻化しました。これまで 比較的順調だった管楽器についても、 縮小し、楽器の総需要も漸減傾向にあり 1,000 ます。近年では、電子ピアノの技術革新・ 多様化により、アコースティックピアノが 中高級品を中心に需要が縮小しまし た。一方、PA 機器はほぼ前期並みにと どまりました。音楽教室も子ども、大人 一部電子ピアノに置き換わりつつあり、 500 鍵盤楽器を中心に高付加価値品と廉価 の生徒数がともに伸び悩み苦戦しまし 品の二極化も進んでいます。 たが、英語教室は増収となりました。ま た音楽ソフト事業は CD や音楽出版が 流通チャネルも、既存の楽器店に加 0 05/3 好調に推移しました。 n n 06/3 07/3 08/3 09/3 音楽教室他 ヤマハ楽器 え、家電・カメラ量販店、全国規模の楽 器チェーン店など多様化しています。 北米 経済減速と消費低迷の影響を大きく受け、鍵盤楽器全般で売り上げが減少しました。 一方でエレクトリック・アコースティックギター、電子ドラムは好調に推移しました。 2009 年 3 月期の業績概況 米国市場では、住宅不況の影響で期 初からアコースティックピアノが伸び悩 市場動向・特性 地域別売上高 (単位:億円) 米国の楽器市場は、中期的には安定 800 的な成長が見込まれますが、昨今のサブ みましたが、2008 年秋の金融恐慌以 降、一段の減少となりました。ポータブ プライムローン問題や住宅着工数の減少 600 による景気の低迷で消費が冷え込んでい ルキーボードなども消費低迷のあおり を受け、売り上げが減少しました。ギ ます。小売りでのクレジット引き締めも続 いています。 400 ターは、エレクトリック・アコースティッ 米国は、ピアノや管楽器の専門店と クギターの商品導入と販売チャネル対 大型楽器量販店が主要な販売チャネル 策が功を奏し、売り上げを伸ばしまし 200 です。 楽器市場の 3 分の1 はギターやドラム た。市場拡大が進む電子ドラムは前期 の売り上げを大きく上回りました。 0 05/3 n n 20 Yamaha Corporation 06/3 音楽教室他 ヤマハ楽器 07/3 08/3 09/3 などが占め、趣味、エンターテインメント 的色彩が濃い市場といえます。 欧州 景気悪化影響があったものの、電子楽器の新商品効果もあり、欧州全体ではほぼ前年並みとなりました。 主要市場のドイツは堅調に推移しましたが、その他の地域はまだら模様で、東欧も期後半に成長が鈍化しました。 2009 年 3 月期の業績概況 アコースティックピアノでは、インド ネシア製の普及価格帯商品を積極的に 投入し、前期並みの売り上げを維持しま 市場動向・特性 地域別売上高 (単位:億円) 2009 年3月期は急激な円高と英ポンド 800 など欧州内通貨のユーロに対する一段の 600 下落や、ネット販売の拡大などにより価格 400 アノや管楽器の専門店が中心ですが、近 した。管楽器については、木管楽器を 中心に減少しました。一方で、ポータブ 競争が激化しました。販売チャネルはピ ルキーボードの高級多機能モデルが高 い評価を得て好調でした。 年では家電などの総合量販店にも販路が 広がっています。 200 東欧諸国は、成長が鈍化していますが、 0 05/3 06/3 07/3 08/3 09/3 楽教室他 音 n ヤマハ楽器 n もともと音楽文化が根づいていることも あり、中長期での成長が期待できます。 中国 世界的な景気後退の影響を受けましたが、ピアノは着実に市場シェアを高めています。 2009 年 3 月期の業績概況 中国では世界的な経済危機の影響を 受け内需の鈍化があるものの、アコー スティックピアノが牽引し、2009 年3月 期も引き続き2 桁の成長を果たすこと ができました。 市場動向・特性 地域別売上高 (単位:億円) 150 n n 中国本土の楽器市場規模は推定 600 楽教室他 音 ヤマハ楽器 億円以上で、そのうち3 分の 2をアコー スティックピアノが占める鍵盤楽器市場 100 です。今後もピアノを中心に高成長を維 50 持していけるものと期待しています。 0 05/3 06/3 07/3 08/3 09/3 その他の地域 2009 年1月以降の市況悪化による成長鈍化はあるものの、アジア、中南米などで成長基調を維持しました。 2009 年 3 月期の業績概況 韓国は2009 年の年明けに減速感が 出ているものの、前期の売り上げを上 回りました。インドネシア、中南米、 オーストラリアは好調に売り上げを伸ば しましたが、台湾、ロシアなどは苦戦し ました。 市場動向・特性 地域別売上高 (単位:億円) 600 ロシア、中東、中南米などでは、資源 楽教室他 音 n ヤマハ楽器 価格の下落や世界経済低迷の影響を受 n け、一旦景気が減速していますが、中長 400 期では成長できると期待しています。 200 ショッピングモールや量販店の出店加 0 05/3 06/3 07/3 08/3 09/3 速など販売網の変化も見られます。 Annual Report 2009 21 今後の重点的な取り組み 国を始めとするエマージング市場向けに、自社海外工場製のコ 重点市場 ストパフォーマンスの高いモデルを積極的に投入することによ 中国などエマージング市場では、今後も世界的な経済危機の り、事業の拡大を図ります。また生産拠点の集約によりピアノの 影響を受け、厳しい状況が予想されますが、市場に適合した商 収益性向上を追求します。 品開発、高付加価値商品の拡販に努め、さらなる事業の拡大を ヤマハはアコースティックピアノから電子ピアノまでをトータル 図ります。 でとらえ、新しい需要を開拓する「トータルピアノ戦略」を進めて 中国市場では、大きな売上構成比を占めるアコースティック います。2009 年4月に発表したハイブリッドピアノAvantGrand® ピアノの売り上げ拡大、シェアアップに加え、グランドピアノを始 は、アコースティックとデジタルの間を埋める中核的な商品とし めとした高級ピアノの販売比率拡大を目指します。管楽器も今 て訴求していきます。 後の成長が期待できることから、販売網の構築を進めると同時 ギターについては、これまでインドネシアと中国におけるギ に、アーティストリレーション活動も進めていきます。 ター工場の強化と北米における販売網の拡充を進めてきました ロシア、インドでは、引き続き販売体制の整備を進め、成長基 が、それぞれ成果が出てきています。今後も引き続き製造改革 盤も確立していきます。 を進めるとともに、エレクトリック・アコースティックギターの開 発を加速していきます。 重点商品 業務用音響機器については、既に強みのあるデジタルミキ アコースティックピアノについては、電子ピアノへの移行や、 サーのほか、買収したフランスのスピーカーメーカー ネキソ社 価格競争の激化といったこれまでの課題に、景気低迷に伴う消 との連携も強め、今後はアンプやスピーカーといった出力系の 費の冷え込みという要素が加わったこともあり、需要の回復に 分野を強化していきます。 はある程度の時間がかかるものと思われます。 音楽ソフト事業では、新しいアーティストの発掘・育成などを こうしたなかで、グランドピアノの中高級の分野でしっかりと 積極的に展開することで関連商材の売り上げ拡大を図り、引き したブランドポジションを確立し伸ばしていくこと、さらには中 続き事業基盤の強化に努めます。 エレクトリック・ アコースティックギター CPX15II NEXOラインアレイ スピーカーシステム GEOシリーズ Xeno®アーティストモデルトランペット YTR-9445CHS ハイブリッドピアノ AvantGrand® N3 電子ピアノ MODUS® F01グラフィックモデル 22 Yamaha Corporation ドラムセット PHXシリーズ 阿部 真央 (株)ヤマハミュージック アーティスト所属 capsule (株)ヤマハミュージック アーティスト所属 AV・IT事業 2009 年 3 月期の業績概況 事業の強み 売上高 567 億 22 百万円(前期比 19.9% 減少)、営業損失 4 n ジタル・サウンド・プロジェクター ® 技術 デ 億 10 百万円(前期は営業利益 18 億 39 百万円)。 n iPod*1 オーディオを楽しむワイヤレス伝送技術 オーディオ機器は、AVレシーバーが、市況悪化による総需 n AVコンポ/ HiFiオーディオでの高音質技術 要の縮小により減収。フロント・サラウンド・システムは日本で n ーターにおけるソリューションビジネス ル ラック一体型システムがヒット。ルーターは、SOHO 向けルー n WEB 会議用マイクスピーカーにおける高音質・高収音 ターが市場で高い評価を受けてトップシェアを維持。 の信号処理技術 主要指標推移 売上高/営業利益(損失) (単位:百万円) (単位:百万円) 80,000 05/3 06/3 07/3 08/3 09/3 ¥77,720 ¥75,939 ¥72,823 ¥70,814 ¥56,722 営業利益(損失) 3,651 2,113 2,137 1,839 (410) 設備投資額 1,111 1,129 1,539 2,009 1,451 減価償却費 1,492 1,542 1,610 1,794 1,631 研究開発費 5,069 4,919 4,858 5,087 5,257 売上高 6,000 売上高 (左軸) 営 業利益 (右軸) n 60,000 4,500 40,000 3,000 20,000 1,500 0 0 n –1,500 05/3 市場動向と今後の戦略 市場動向 06/3 07/3 08/3 09/3 デザインのデスクトップオーディオの投入、さらには普及価格帯 のミニシステムラインの拡充など、ゼネラルオーディオ機器*2を オーディオ機器市場ではデスクトップオーディオに期待。 中心に商品ラインアップの充実を図ります。同時に、部品内製 SOHO 向けルーター市場は縮小継続 化の促進や材料のコストダウンに積極的に取り組み、製造原価 オーディオ機器市場では、世界的な消費の冷え込みを受けて の低減を通じ、収益力強化を目指します。 AVレシーバーやホームシアターシステムの競争が激化すると 業務用カラオケ機器事業では、次世代製品開発を積極的に進 見ています。一方、iPodの普及に伴い、デスクトップオーディオ めることにより、売り上げ増、収益の改善を目指してまいります。 市場の成長が見込まれます。業務用カラオケ機器市場、国内の ルーター 事 業 では、既 存 機 種 及 び 新 たに 市 場 投 入した SOHO 向けのルーター市場はともに市場が成熟化しており、引 RTX1200 の販売台数拡大により売り上げ増を目指すほか、これ き続き縮小が続くものと見ています。また、会議システムは、ビ まで蓄積してきたルーター技術を応用した次世代ネットワーク ジネスのグローバル化やインターネットの普及により市場は拡大 対応機器の商品開発を進めます。 しており、出張コスト削減や業務効率化のためのツールとして 会議システム事業では、国内で引き続きWEB 会議用マイクス 需要の伸びが期待されます。 ピーカーのシェア拡大に注力するほか、販売網構築を進め、ソ リューション提案を展開していきます。 今後の戦略 ゼネラルオーディオ機器を幅広く市場に投入 オーディオ機器では、2009 年春に発売した中・普及価格帯の AVレシーバーに加え、デジタル・サウンド・プロジェクターの新 *1 iPodは米国及びその他の国々で登録された Apple Inc. の登録商標、また は商標です。 *2 ゼネラルオーディオ機器は、幅広いユーザー層を対象として、1 台で、手 軽に音楽を楽しむことができる商品です。 モデル投入、新コンセプトのサラウンドシステムの投入、新しい Annual Report 2009 23 電子部品事業 2009 年 3 月期の業績概況 事業の強み 売上高219 億75 百万円(前期比51.2% 減少) 、営業損失25 n 器用 LSI の開発を通して蓄積されたノウハウ 楽 億36 百万円(前期は営業利益18 億63 百万円) 。 n 性能なデジタル信号処理( DSP )技術 高 携帯電話用音源 LSIは海外でのソフト化の進行及び国内携 nミ ドルウエア、コンテンツ開発ツールなどのソフトウエア 帯電話の販売減少により、大幅な減収。デジタルアンプ、ア 技術 ミューズメント向け音源 LSI や車載用画像 LSIは、市況の悪化 により期待には届かず。シリコンマイクは競争激化により、事 業化を断念。 主要指標推移 売上高/営業利益(損失) (単位:百万円) 売上高 営業利益(損失) (単位:百万円) 05/3 06/3 07/3 08/3 09/3 ¥69,048 ¥56,167 ¥54,809 ¥45,000 ¥21,975 19,970 7,927 3,101 1,863 (2,536) 設備投資額 4,955 5,488 4,395 2,435 3,247 減価償却費 4,183 4,471 4,676 4,618 3,326 研究開発費 4,473 5,345 5,372 5,387 4,474 80,000 40,000 60,000 30,000 40,000 20,000 20,000 10,000 0 0 売上高(左軸) n 電子金属 n 半導体 営業利益 (右軸) n –10,000 05/3 市場動向と今後の戦略 06/3 07/3 08/3 09/3 ソフトウエアの提供やお客様サポートといった活動で差別化を図 市場動向 ることで、お客様との関係を一層強固にします。さらに、アプリ 携帯電話などの需要減少を受け、総じて厳しい状況継続 ケーションの提案を含め、新たな音の付加価値を創造する新音 携帯電話用音源 LSI 市場では、海外市場を中心に引き続き 源デバイスを提案し、次の成長を目指します。 ハード音源からソフトウエアへの移行が進行しています。国内で 具体的には、市場の低迷が続く携帯電話市場においては、通 は、携帯電話の割賦販売制度の導入による端末の買い控えに加 信事業者や端末メーカーに対して緊密なサポートを行うほか、 え、景気後退による消費の低迷などにより、今後も携帯電話そ 通話音質の改善や、携帯電話を使った音楽演奏などのアプリ のものの需要低迷が想定されます。アミューズメント分野(音 ケーション提案に努めます。さらには非音源デバイス (コーデッ では、法規制の変更により遊技機器市場が縮小し 源/画像LSI ) ク、デジタルアンプ)の拡販などにより、音源 LSI 事業の縮小を ました。デジタルアンプ LSI 市場では、低発熱性、省電力化の カバーしていきます。 ニーズが高まる一方、薄型 TV 市場の成長鈍化による需要減速 アミューズメント分野では、好評を博している新商品のサラ と競争激化による低価格化の進行が懸念されます。車載用画像 ウンド機能内蔵音源LSIや高圧縮デコーダ内蔵画像LSIの販売に LSIは、自動車市場の急速な縮小を受け、当面は厳しい状況が続 注力し、さらなるシェアアップを図ります。 くものと思われます。 車載用画像LSIについては、自動車市場の低迷が続くなかで、 デコーダを内蔵した新商品の採用が拡大しています。今後もお 今後の戦略 客様のニーズを取り入れた新商品の開発を進め、市場における 音源 LSIに代わるビジネスの拡大を強化 プレゼンスを高めていきます。 半導体事業全体では、これまで取り組んできた携帯電話、ア 同時に、事業構造改革を進め、固定費の削減、製造のコスト ミューズメント、自動車向けの商品群で事業基盤のさらなる強化 ダウン、開発の効率化に徹底して取り組み、収益改善を目指し を図ります。また競争が激化するなかで、ミドルウエアとしての ます。 24 Yamaha Corporation リビング事業 2009 年 3 月期の業績概況 事業の強み 売上高431 億21 百万円(前期比5.3% 減少)、営業損失3 億 n 人造大理石関連技術(マーブルクラフト® ) 5 百万円(前期は営業利益 5 億 88 百万円)。 n 木工塗装技術 システムキッチン及びシステムバスルームは、住宅ローン n 独創的デザイン力 減税の新築駆け込み需要があったものの、2008 年 12 月以降 の新設住宅着工戸数の大幅減少や個人消費の悪化によるリ フォーム需要減少を受けて売り上げは減少。エネルギー需要 構造が大きく変化するなかで、将来的な需要が見込めない灯 油給湯器事業からは撤退を決定。 主要指標推移 売上高/営業利益(損失) (単位:百万円) (単位:百万円) 05/3 06/3 07/3 08/3 09/3 50,000 2,000 ¥42,844 ¥45,214 ¥46,573 ¥45,520 ¥43,121 40,000 1,600 (24) 1,169 1,150 588 (305) 30,000 1,200 設備投資額 1,195 1,245 1,303 647 1,006 減価償却費 1,518 1,062 1,007 1,063 1,021 20,000 800 研究開発費 1,236 1,260 1,403 1,351 894 10,000 400 0 0 売上高 営業利益(損失) 売上高 (左軸) 営 業利益 (右軸) n n –400 05/3 市場動向と今後の戦略 市場動向 06/3 07/3 08/3 09/3 今後の戦略 中長期的に安定的な利益の創出を目指す 新設住宅着工数減少継続。各社ともリフォーム強化 リフォーム市場においては、人造大理石キッチンカウンターを 引き続き景気動向は先行き不透明感が強く、一層の消費マイン お客様が現在使用中のキッチンカウンターと交換するポイントリ ドの低下が想定されます。住宅設備機器市場では、100 万戸前 フォーム「いいとこどり」の部材ビジネスの展開を進めていきま 後と推定される国内の新築住宅市場の縮小及び一層の低価格 す。主に普及価格帯で流通販路との取り組みを強化することで、 化の進行により、競争激化が予想されます。そのなかで業界各 リフォーム事業の拡大を図っていきます。 社とも、生き残りをかけ、住宅リフォーム事業の拡大やアジア市 また中長期的には、新築需要に左右されず、安定的利益創 場ビジネスなどを強化し、新商品の投入や宣伝活動などに力を 出が可能となる事業基盤の確立を目指します。そのために、今 入れています。リフォーム事業では、住環境改善に向けた消費 後はリフォームを強く意識している設備・管材・住設ルート及び 者心理が依然根強く、販売先企業との連携強化とユーザーの需 エネルギー系販路などの新規販路開拓に取り組むとともに、す 要喚起が重要と考えています。 べてのビジネスプロセスにおいて徹底した効率化経営を進めま す。特に、施工力などで特長のある販路との結びつきを強化 し、それぞれの役割を明確化することで、流通販売先企業の過 剰なメーカー依存による負荷を軽減し、収益構造の改善につな げていきます。 また 、住宅設備業界は商品の均質化が進み、価格競争が激 化していますが、今後は強みとする人造大理石技術、木工塗 装技術、独創的デザイン力などで、競合との差別化を進めてい きます。 Annual Report 2009 25 その他の事業 2009 年 3 月期の業績概況 自動車用内装部品事業は、完成品メーカーからの受注大幅 減で、減収減益。 売上高308 億33 百万円(前期比34.9% 減少)、営業損失21 金型・部品事業はマグネシウム成形部品事業から撤退を決定。 億円(前期 6 億 28 百万円の営業利益)。 レクリェーション事業は前期に一部施設を譲渡したことによ ゴルフ事業は増収増益。期後半では 、世界的な景況感が り利益改善。 悪化し減速。 主要指標推移 売上高/営業利益(損失) (単位:百万円) (単位:百万円) 60,000 05/3 06/3 07/3 08/3 ¥23,557 ¥24,671 ¥32,365 ¥36,044 レクリェーション 18,290 18,013 17,800 11,353 営業利益 その他 (損失) レクリェーション 168 582 794 1,731 (2,253) (1,789) (1,536) (1,103) 設備投資額 4,127 3,141 3,095 2,828 2,082 減価償却費 3,943 3,235 3,419 2,656 1,889 研究開発費 990 1,173 1,147 1,440 1,809 売上高 その他 09/3 9,000 売上高(左軸) その他 n ¥30,833 (2,100) n レクリェーション 40,000 6,000 20,000 3,000 0 0 * 設備投資額・減価償却費・研究開発費は、2005年3月期から2008年3月期にわたる4期は、その他の事業とレクリェー ション事業を合算して表示しています。 市場動向と今後の戦略 市場動向 営業利益(右軸) n その他 n レクリェーション –3,000 05/3 06/3 07/3 08/3 09/3 今後の戦略 早急な収益の改善を目指す 回復の兆しが見えず、当面は厳しい市場環境が続く ゴルフ事業では、研究開発投資を継続し、現在のinpres®ブ 世界的な景況感の悪化により、ゴルフ事業は国内・海外ともに ランドのさらなる強化を図り、シェアの拡大を目指します。特に、 市場の大きな回復は見込めない状況です。自動車用内装部品事 中高級のカスタムオーダー品への対応力を強化します。 業は、在庫の調整が進み、底打ち感が出てきたものの、早期回 自動車用内装部品事業は、損益分岐点の引き下げに注力する 復は難しいと思われます。FA 機器事業は、新年度に入り、環境 ことにより、利益体質への転換を進めます。とりわけ、新製品の 対策関連機器を中心に若干動きが出てきました。レクリェー 立ち上げロスを縮小し、歩留まり改善に努めます。 ション事業は、法人需要は依然減少傾向です。個人需要も消費 FA 機器事業では、積極的に顧客開拓を進め、増収を目指し マインドの落ち込みにより、厳しさは継続すると予想されます。 ます。 レクリェーション事業では、厳しい経済環境が続くなか、施設 の魅力を生かした商品企画提案や社員育成の強化によるサービ ス向上と業務改善により、営業利益の早期黒字化を目指します。 つま恋®は、個人客営業施策を強化するとともに、日本有数の野 外音楽施設と乗馬施設を保有する施設として差別化を図ってい きます。葛城北の丸 ®・葛城ゴルフ倶楽部®は、2 年目となった女 子プロトーナメントの営業効果を最大限に活用し、魅力ある商品 プランの提案を前倒しで行っていきます。 26 Yamaha Corporation 研究開発と知的財産 ヤマハの幅広い事業展開を支える基盤は、グループ内に蓄積された技術にほかなりません。 この技術開発力を一層強化するために、ヤマハは研究開発活動への積極的な資源投入を行ってきました。 また、獲得した技術の競争力を維持、向上させていくことを第一義的な目的として、 関連する知的財産権の獲得、維持、活用する活動を展開しています。 研究開発 コア技術と事業の方向性 研究開発体制 ヤマハは「音・音楽」の分野で長年培ったコア技術を生かし、 ヤマハの研究開発体制は、全社共通技術の強化及び新規事 独創的かつ高品質な商品やサービスの提供により、新たな需要 業創出のための研究開発を担う全社 R&Dと、事業セグメント内 を開拓し、ヤマハブランドの価値向上に努めてきました。同時に、 で製品にかかわる技術開発を行う部門内 R&Dとで構成されて ヤマハの生み出すデザイン・意匠は、世界的にも高く評価されて います。 おり、独自の顧客訴求力と商品競争力を創出し、高いブランドイ 全社 R&Dとしては、音・音響・ネットワークの研究開発を行う メージ維持のために重要な役割を果たしています。 サウンドテクノロジー開発センターのほか、素材素子開発セン 今後は、ネットワーク化による音生活のための技術開発や人 ター、ネットワーク技術の全社展開を行うeヤマハ室、生産技術 の感性や感覚を扱う素材・デバイス開発に注力していくことで、 開発センターがあります。また、ヤマハの製品デザインの大半を 声や環境の音をも視野に入れた音の専門企業として進化し、新 手掛けるデザイン研究所は、常に新鮮な感覚で近未来を見据え たな事業分野の創出と育成を目指していきます。具体例として たコンセプトの下に、斬新なプロダクトデザインを生み出していま は、ヤマハの音響技術・信号処理技術・ネットワーク技術を融合 す。そして、具体的に新規事業開発に焦点を当てた組織として させ、家庭生活の情報伝達やセキュリティなどの分野で音を活用 INFOサウンド開発推進室、SA 商品開発室があります。 する技術開発を進めています。 このような新たな事業展開を支えていくために、ヤマハはコア 技術に一層磨きをかけると同時に、技能伝承などによる人材育 成、開発・生産技術の維持、向上を図っています。また、ブラン ド、知的財産を始めとする無形資産を強化し、ヤマハ独自の価値 創造を推進していきます。 会社の技術組織と役割 社長 開発戦略委員会 研究開発費 (単位:百万円) 30,000 n 企画調整/事務局機能 n 20,000 n n サウンドテクノロジー開発センター 音・音楽技術/全社技術支援 素材素子開発センター その他 n リビング 開発戦略室 子部品 電 AV・IT 楽器 10,000 素材・素子技術/全社技術支援 e ヤマハ室 0 05/3 ネット技術/全社 Web 支援 06/3 07/3 08/3 09/3 製造企画部 生産技術開発センター 生産・製造技術/全社技術支援 デザイン研究所 将来コンセプト/全社デザイン INFO サウンド開発推進室 音技術による新事業開発 SA 商品開発室 新ジャンルの楽器開発 事業部門内 技術開発部門 事業部門固有の技術開発 セグメント別研究開発費(2009 年 3 月期) その他 7.8% リビング 3.9% 電子部品 19.3% 総額 232 億 18 百万円 楽器 46.4% AV・IT 22.6% Annual Report 2009 27 R&D TOPICS ハイブリッドピアノAvantGrand® AvantGrand(アバングランド) は、設置場所や周囲への音の問題など従来の ピアノユーザーが直面していた問題を解決しつつ「本物のグランドピアノ体験」 が味わえる、新しいピアノです。 リアルな弾き心地を実現する「専用グランドピアノアクション」、繊細な操作 感を実現した「専用グランドピアノペダル」、グランドピアノの響きをそのまま生 かした「スペーシャル・アコースティック・サンプリング」、弾く人に心地よく音 を届ける「スペーシャル・アコースティック・スピーカーシステム」、立ち上がり の早い音を再現する「サウンドボード・レゾネーター」、グランドピアノを弾いた ときの振動を体感できる「タクタイル・レスポンスシステム」などの新技術によ り、グランドピアノならではの音と演奏感が奏者に伝わるよう最適設計。ヤマハ の 100 年以上の時を経たピアノづくりの経験と、21 世紀の最新技術をハイブ リッドに実現しています。 インタラクティブミュージックプレーヤー BODiBEAT® 走るビートが音楽になる。 BODiBEAT(ボディビート)は、スポーツ科学に基づいて、音楽と一体感を 感じながら運動するという新しい価値を追求した、全く新しい音楽プレーヤー です。 本体に取り込んだ曲から、自分が走る/歩くペースに合わせた曲が自動選曲 再生される「フリーワークアウトモード」や、心拍数や年齢に合わせて最も効果 的な有酸素運動ができるペースの曲が自動選曲再生される「フィットネスモー ド」など、スポーツ科学を専門分野とする東京大学大学院の深代千之教授が監 修した運動プログラムを搭載しています。 ふさわしいテンポの曲がメモリー内にない場合も、本体内蔵の音源とシー ケンサーを利用して楽曲を生成する「 BODiBEAT Mixer 」機能(特許出願中) により、走る/歩くペースに合ったテンポの曲が自動的に再生されます。 ポータブルプレーヤードックPDX-50 ヤマハ独自のデジタルワイヤレス伝送技術 AirWired®(エアワイヤード) を搭載し、手元の iPod*をリモコンのように使って操 作するワイヤレス型ポータブルプレーヤードックPDX-50を開発しました。 お手持ちのiPodに付属のトランスミッターを装着するだけで、iPodをワイヤレスで再生。iPodの操作が手元で行えるのはも ちろん、本機の電源 ON / OFF や音量調整もiPodから操作でき、iPodをリモコンのように使って再生が楽しめます。 ヤマハが開発した独自のデジタルワイヤレス伝送技術 AirWiredの採用により、ワイヤレス再生時の音声の遅延時間をわずか 12ms(通常視聴で音声と映像のズレが気にならない水準)で実現。 手元でiPodの動画を観賞する際にも、一般的なデジタルワイヤレス 伝送にありがちなストレスを感じることなく、本機を迫力あるサウン ドとともに楽しむことができます。また、音質劣化のない非圧縮PCM 伝送方式を採用したAirWiredは、クリアで自然な高音質再生を実現 しています。 28 Yamaha Corporation * iPod は米国及びその他の国々で登録された Apple Inc. の登録商標、また は商標です。 知的財産 ヤマハは、創業以来、特許などの知的財産権の取得とともに、 著作権 第三者の知的財産権を尊重すべく知的財産活動に取り組んでき ヤマハは、特許・意匠・商標の産業財産権に加え、音・音楽の ていますが、近年では、事業戦略、研究開発戦略と知的財産戦 分野を中心に多数の著作物を創造しています。特に、音楽関係 略との一体化を図り、知的財産による事業貢献を最大化するた の著作権などは重要な知的財産権であり、法的措置の実施を含 めの種々の施策を実行しています。 めて適正な管理・活用に努めています。 特許 ブランド 各事業セグメントごとに事業の特性に合わせた特許戦略を策定 ヤマハは、1986 年にヤマハブランドに関する管理規程を制定 し、そのなかで特許重点取得領域(テーマ) を定め、選択と集中 を設置するとともに、表 し、併せて全社的な管理組織(委員会) による強い特許網構築を目指して取り組んでいます。 示ルールなどの整備を進め、適正な使用の実現によるブランド価 また、各事業セグメントにおいては、他社との差別化、事業の 値の維持及び向上を図ってきました。 優位性の獲得・確保を主眼に特許を活用するとともに、事業分野 今後は、ヤマハブランドに加え、サブブランドとしての製品・ によっては第三者へのライセンス活動も推進しています。 サービスブランドに関する管理を強化し、戦略的育成・活用を進 さらに、内外の保有権利全件について、毎年、現在の活用状 めていきます。 況、将来の活用の可能性などを含めた権利評価を行って保有権 利を峻別することにより、資産の適正化を図っています。 模倣品対策 ヤマハグループの2009 年3月末における日本での特許及び実 模倣品に対しては、10 年以上前から、摘発及び行政/司法 用新案の合計保有件数は、約 5,700 件です。また、海外での保 ルートで積極的な対策活動を実施しており、実績ができつつあり 有件数は、米国、欧州、中国を中心に約 4,600 件です。 ますが、今後も、当社ブランド及び消費者のヤマハブランドへの 信頼を保護するために、訴訟提起を含めて徹底的な法的措置を 意匠 行っていきます。 ヤマハは、デザインを製品差別化の重要な要素の一つととら え、適切な保護・活用に努めています。近年では、模倣品対策の 管理体制 ため、中国での意匠権取得を強化しています。ヤマハグループ コーポレートスタッフを法務・知的財産部に配置して全社の知 の2009 年3月末における日本及び海外での合計保有件数は、約 的財産を一元管理するとともに、事業戦略、研究開発戦略と知 700 件です。 的財産戦略との一体化を図るために、すべての事業部門、研究 開発部門に知的財産要員を配置しています。そして、法務・知的 財産部と各部門の知的財産担当とが連携し、全社的観点及び事 業領域別観点の両面から知的財産活動を推進しています。 2009 年 3 月末時点の特許保有状況 (単位:件) 6,000 n 4,000 その他 n リビング n n n 子部品 電 AV・IT 楽器 2,000 0 日本 米国 その他の 地域 Annual Report 2009 29 コーポレート・ガバナンスとCSR コーポレート・ガバナンス グループ全体における体系的な内部統制システムの整備に継続的に取り組みます。 また事業継続計画( BCP ) を通じて緊急時における迅速な対応がとれるよう、体制準備を進めています。 コーポレート・ガバナンスの基本的な考え方 当社は、連結グループ経営機能の強化及び事業執行機能強 当社では、コーポレート・ガバナンスの強化を経営の重要課題 化のために執行役員制度を採用しています。業務執行の最高責 ととらえ、積極的に取り組んでいます。 任者である社長をサポートすべく、2009 年 6 月25 日現在で 17 「感動を・ともに・創る∼音・音楽を原点に培った技術と感性で 名(うち、常務執行役員 2 名) が就任しています。職責の重要性 新たな感動と豊かな文化を世界の人々とともに創りつづけます。」 に鑑み、原則として、取締役を兼務する執行役員が、事業、ス を企業目的として掲げ、経営の効率化を追求し、グローバルな競 タッフ部門の統括を担当しています。担当するグループの業績 争力と高水準の収益性を確保するとともに、コンプライアンス、 に対し責任を負い、グループが最大限の機能を発揮できるよう 環境、安全、地域社会への貢献など企業の社会的責任を果たす に適切に指揮・命令を行います。統括の下、経営上の主要テー ことにより、企業価値/ブランド価値を高めていきます。 マを担う部門に執行役員を配置しています。 その実現のために、経営上の組織体制や仕組みを整備し、必 要な施策を実施するとともに、適切な情報開示を通して、透明で 適正な監査実施による公正性・透明性の確保 質の高いかつ効率性を追求した経営の実現に向け取り組んでい 当社は、監査役設置会社です。執行役員制度の導入、全社ガ きます。 バナンス委員会の設置、内部監査体制の整備などを通してガバ ナンス機能の強化を図っており、監査役の常勤監査体制による 取締役と執行役員による経営体制を構築 日々の業務監査と相まってガバナンスの実効性を高めています。 当社の取締役は、2009 年 6 月25 日現在で 9 名(うち、社外取 当社の監査役は、2009 年 6 月25 日現在で 5 名(うち、社外監 締役1名)です。取締役会は、原則として毎月1回開催されてお 査役 3 名)です。原則として月1 回の監査役会を開催するほか、 り、当社グループの戦略立案、部門執行のモニター・指導など、 監査計画に基づき定期的・網羅的に各部門及びグループ会社に グループ経営機能を担っています。また、取締役は、その任期 おいて監査を実施するとともに、取締役会に出席するほか、経 を1年にしています。 営会議などの重要会議に参加しています。会計監査について コーポレート・ガバナンス体制 (2009年6月25日現在) 株主総会 選任・解任 全社ガバナンス 委員会 選任・解任 諮問 答申 取締役会 取締役9名 監査 監査役会 監査役5名 (うち、常勤監査役2名) (うち、社外監査役3名) (うち、社外取締役1名) 選任・解任 報告 会計監査人 選任の同意 会計監査相当性の判断 監査役室 選任・解任・監督 選任・解任 経営会議 諮問 答申 全社戦略委員会 報告 選任・解任 代表取締役 1名 監査 指示 内部監査統括室 報告 執行役員 17名 事業部門、スタッフ部門、グループ会社 30 Yamaha Corporation 会計監査 内部監査 は、会計監査人から財務諸表監査の経過報告を定期的に受ける 取締役及び監査役の報酬等の総額 ことにより会計監査の相当性の判断をしています。また、常に 取締役及び監査役の報酬等の総額(2009 年 3 月期) 有効な監査環境が整備されるよう監査役スタッフとして監査役室 を設置しています。 (スタッフ数は、2009 年6月25日現在で1 名) 取締役 10 名 4 億 30 百万円(うち、社外取締役 2 名 4 百万円) 監査役 5 名 70 百万円(うち、社外監査役 2 名 9 百万円) なお、内部監査統括室(スタッフ数は、2009 年 6 月25 日現在 で 11 名)は、当社における経営諸活動の全般にわたる管理・運 営の制度及び業務の遂行状況を合法性と合理性の観点から検 討・評価し、その結果に基づく情報の提供並びに改善・合理化 への助言・提案などを行っており、同時に監査役及び会計監査 人との連絡・調整を密に行うことにより、監査効率の向上に努め ています。 2009 年 3 月期 社外取締役・社外監査役の 主な活動状況 (注) 1.上記には、2008 年 6 月25 日開催の第 184 期定時株主総会終結の時をもって退任した取締 役(社外取締役)1 名及び監査役 1 名を含んでいます。 2.上記以外に、2006 年 6 月27 日開催の第 182 期定時株主総会において決定した「退職慰労 金制度廃止に伴う打切り支給の件」に基づき、2006 年 6 月末日までの在任期間に応じて算 定された退職慰労金を支払いました。具体的には、第184 期定時株主総会終結の時をもっ て退任した取締役(社外取締役)1 名に対し1 百万円及び監査役 1 名に対し24 百万円の退 職慰労金の支払いをし、また、2009 年 6 月25 日開催の第 185 期定時株主総会終結の時を もって退任した取締役 3 名に対し総額 3 億 56 百万円の退職慰労金の支払いをしました。 社外取締役及び社外監査役のサポート体制 社外監査役が出席する取締役会及び監査役会の議案につい て、専任の監査役スタッフが事前に資料などを送付し、必要に 社外取締役 梶川隆は、就任後、2009 年 3 月期開催の取締役 応じ説明を行い、あらかじめ十分な検討ができるようにしてい 会 11 回のうち8 回に出席しました。上場会社の代表取締役とし ます。また、その他の重要な事項についても情報の伝達、資 ての豊かな経験と高い見識に基づき、議案審議などに必要な発 料送付、意見の聴取、調査・情報収集のサポートなどを行い、 言を適宜行いました。 常に有効な監査環境の整備に努めています。 社外監査役 三浦州夫は、2009 年3月期開催の取締役会14 回 社外取締役に対しては、必要に応じて取締役会議案、報告 のうち13 回に出席しました。また、監査役会14 回のすべてに出 事項について個別に説明を行っています。 席し、主に弁護士としての専門的見地からの発言を行いました。 社外監査役 寺井康晴は、取締役会 14 回のすべてに出席しま した。また、監査役会 14 回のすべてに出席し、主に経営者とし ての経験や見識に基づく発言を行いました。 新任社外監査役からのメッセージ 企業が発展するためには、通常、様々な新規事業にチャ レンジし、またそのために必要な投資活動を実施します。私 はヤマハの社外監査役に就任するに当たり、こうした活動に 関する法令や諸規則に対するコンプライアンスはもとより、企 社外監査役 喜多村 晴雄 業価値向上に向けた経済合理性について、社外監査役の立 場で常に客観的な視点を意識しながら監査を行っていきたい 私はこれまで、公認会計士として様々な企業の会計や内部 と考えています。 統制への取り組みを、またコンサルタントとして経営管理に関 ヤマハには、古くからの名門企業としての歴史があるとと する取り組みを、さらには様々な企業の社外取締役や社外監 もに、格調高きヤマハブランドが存在します。世界に通じるヤ 査役として企業のコーポレート・ガバナンスのあり方を数多く マハのブランドがより一層発展するよう、社外監査役の立場か 経験してきました。 ら厳しい目でチェックしていきたいと考えています。 Annual Report 2009 31 内部統制システムに関する基本的な考え方 コンプライアンス経営の推進 当社は、会社法及び会社法施行規則に基づき、内部統制シス 当社は、2003 年にコンプライアンス委員会を設置し行動規準* テムを整備しています。企業価値/ヤマハブランド価値を高め を定め、まず国内でコンプライアンス推進活動をスタートしまし るために最適なコーポレート・ガバナンスを追求するとともに、 た。2007 年 3 月期からは、行動規準に強制労働・児童労働の禁 事業活動の効率性向上、経理・財務情報の信頼性向上、法令遵 止などの、海外で事業を行う上で留意すべき項目を追加するな 守の徹底、財産の保全及びリスク管理力の強化を図るべく、内 ど、グローバルな事業展開にふさわしい体制づくりを進めました。 部統制システムの質的向上に努めています。 2008 年4月には、海外グループ企業においてそれぞれの現地法 グループ横断的な内部統制に係る具体的取り組みとして、当 を加味した行動規準の制定を完了するなど、ヤマハグループ全 社グループではグループ全体の内部統制ポリシーを定めていま 体で統一された理念・規範の下に推進活動を展開する体制が整 す。またこの内部統制ポリシーに沿って子会社の規定類整備を いました。 統一的に進めるとともに、モニタリングの網羅性を高めるため なお、コンプライアンスの実効性を高めるため、コンプライ コーポレートスタッフ部門による内部統制に係る全社モニタリン アンス・ヘルプライン (相談・通報制度) を設けています。2009 グ連絡会を実施しています。 年 3 月期は、海外グループ企業社員の利用も含め51 件の相談・ 通報があり、運用開始以来、6 年累計で 301 件の相談・通報に 事業継続計画( BCP )について 対応し、問題解決に努めてきました。 当社は、東海地震などの大規模な自然災害に備え、万一建物 *行動規準の詳細はウェブサイトをご覧ください。 や設備などが被災した場合でも迅速に業務を復旧することがで http://www.yamaha.co.jp/about/corporate/compliance/index.html きるよう、2009 年 3 月期より事業継続計画( BCP:Business Continuity Plan )の構築に着手し、全社の基本方針となるBCP ガイドラインを定めました。 2009 年4月には代表取締役社長を委員長とするBCP 戦略委員 会を設置しました。これにより全社の拠点・グループ企業への展 開を開始するとともに、新型インフルエンザの発生など、様々なリ スクに対応できるよう必要な体制・対策の整備を進めていきます。 コンプライアンス経営の仕組み 方針承認 経営会議 具申報告 監査 監査役会 報告 委員長 コンプライアンス委員会 取締役会 モニタリング 指示 グループ企業 コンプライアンス プログラムの実践 ステーク ホルダー 組織責任者 お客様 報告 アンケート 株主 従業員 社会 取引先 事務局 ヘルプライン 顧問弁護士 32 Yamaha Corporation 購買先 外注先 販売先 企業理念とCSR ヤマハの企業理念 ヤマハの CSR ヤマハグループでは、経営理念において、 「お客様」 「株主」 ヤマハの CSRは、企業理念に則り、事業を持続的に発展さ 「ともに働く人々 」 「社会」のそれぞれに対しての考え方を明確 せ、本業で培った技術や保有する資産を生かして多様なステー に表現し、これをヤマハグループ全体で共有しています。また、 クホルダーの皆様とのコミュニケーションを深めながら、新たな 企業目的に掲げる「感動を・ともに・創る」というスローガンは、 感動と豊かな文化を創り続けることです。 理念体系の最上位に位置づけられ、ヤマハグループが最も大切 音楽は、人々の感情を高揚させ、時に癒し、また感動を与えま にする概念です。ヤマハグループは、それぞれのステークホル す。ヤマハは、 「音・音楽」を事業の中核に据える当社の事業 ダーの満足度を高めつつ、経営資源を有効に活用して持続的な が、発展すればするほど、世界中が心豊かになり、社会に貢献 発展を実現することを通じ、企業価値の最大化に向け努力して することができると考えています。120 年余りの伝統の技術と います。 最先端のデジタル技術、音・音楽に対する豊かな感性と創造性、 ヤマハグループ企業理念 そして世界の様々な地域の生活や文化への理解といったヤマハ が持つ強みを生かして、音楽を楽しむすべてのお客様に、あら ゆる場面でご満足いただけるような製品やサービスを提供する ことにより、世界の人々 の音楽文化の発展と豊かな暮らしに貢 企業目的 献していきます。 「感動を・ともに・創る」 ヤマハグループは 音・音楽を原点に培った技術と感性で 新たな感動と豊かな文化を 世界の人々とともに創りつづけます。 顧客主義・高品質主義に立った経営 健全かつ透明な経営 お客様の心からの満足のために、 先進と伝統の技術、 そして豊かな感性と創造性で、 優れた品質の価値ある商品・サービスを 提供し続けます。 健全な業績を確保し 適正な成果の還元を継続するとともに、 透明で質の高い経営による 永続的な発展を図ります。 人重視の経営 社会と調和した経営 ヤマハに関わりを持って働く全ての人々が 一人ひとりの個性や創造性を尊重し合い、 業務を通じて自己実現できる 企業風土づくりを目指します。 高い倫理性をもって 法律を遵守するとともに、 環境保護に努め、良き企業市民として、 社会・文化・経済の発展に貢献します。 (ともに働く人々に対して) 還元を図り、経営に関する様々な情報を開示し積極的かつ継続 的なコミュニケーションに取り組み、株主のさらなる理解と満足 の向上を目指します。 また、ヤマハグループを支える、ともに働くすべての人々が、 経営理念 (お客様に対して) 同時に、健全な業績を確保することで、株主への適切な利益 (株主に対して) それぞれの能力を最大限に発揮し、成長し、ともに豊かになれ るよう、人事・教育研修制度の充実や、ワークライフバランス支 援を推進しています。 さらには、地域社会の文化・教育発展への取り組み、資源の 効率的活用や環境負荷低減を追求した製品の開発・生産、森林 (社会に対して) の再生など、ヤマハグループならではの活動に重点をおいて社 会・環境的課題に取り組んでいます。 社会とのかかわり ともに働く人々とのかかわり チャリティー収益金で養護施 子どもたちに音・音楽の不思 入院患者の音楽創造を 設に楽器を寄贈 議を伝える サポート 均等・両立推進企業表彰を 受賞 環境への取り組み お客様とのかかわり 4 回目のインドネシア「ヤマハ 天然ガスコージェネレーション 遠州灘海岸林再生活動への の森」植林活動 システムの導入 支援 製品のユーザビリティー テストの様子 YMPI(インドネシア)が海外 グループ企業として初めての 労働安全衛生マネジメントシ ス テ ム「 OHSAS18001」の 認証を取得 株主とのかかわり 「 FTSE4Good グローバル・ インデックス」への組み入れ ヤマハの CSR 活動の詳細な報告に関しては、ウェブサイト 「 CSR/ 環境・社会活動」http://www.yamaha.co.jp/about/csr/をご参照ください。 Annual Report 2009 33 役員一覧 取締役 梅村 充 岡部 比呂男 取締役 取締役 1975 年 当社入社 2000 年 Yamaha Corporation of America 1974 年 当社入社 2000 年 同 管・教育楽器事業部長 2003 年 同 執行役員 楽器事業本部副本部長 2006 年 同 取締役 2007 年 同 取締役常務執行役員 楽器事業統括 1974 年 当社入社 1999 年 Yamaha Europe GmbH 取締役社長 2001 年 当社執行役員 2006 年 同 経営企画室長 2007 年 同 取締役執行役員 2009 年 同 取締役常務執行役員 経営企画統括 代表取締役社長 取締役社長 2001 年 当社執行役員 2003 年 同 上席執行役員 楽器事業本部長 2006 年 同 常務取締役 2007 年 同 代表取締役社長 現在に至る 高橋 源樹 現在に至る 社外取締役 (ヤマハ発動機株式会社代表取締役社長) 梶川 隆 1969 年 ヤマハ発動機株式会社入社 1997 年 同 取締役 2001 年 同 常務取締役 2003 年 同 代表取締役専務 2005 年 同 代表取締役社長 2007 年 同 代表取締役社長 執行役員 現在に至る 現在に至る 取締役 取締役 1978 年 当社入社 2004 年 同 執行役員 生産技術統括本部長 2005 年 同 取締役 2007 年 同 取締役執行役員 現在に至る 2009 年 同 プロダクティブテクノロジー事業 1975 年 当社入社 2002 年 同 購買・物流部長 2005 年 同 執行役員 2008 年 同 取締役執行役員 総務部長 八幡 泰司 佐々木 勉 統括、プロセス管理統括、 ゴルフHS 事業部担当 現在に至る 現在に至る 2009 年 同 経営管理統括 現在に至る 2008 年 当社取締役 現在に至る 取締役 取締役 取締役 1978 年 当社入社 2004 年 同 PA・DMI 事業部豊岡生産部長 2005 年 杭州雅馬哈楽器有限公司総経理 2007 年 当社 AV 機器事業部長 現在に至る 2008 年 同 執行役員 2009 年 同 取締役執行役員 サウンド・IT 事業統括 現在に至る 1980 年 当社入社 2000 年 Yamaha Canada Music Ltd. 1981 年 当社入社 2005 年 同 PA・DMI 事業部長 現在に至る 2006 年 同 執行役員 2009 年 同 取締役執行役員 現在に至る 近藤 昌夫 土井 好広 取締役社長 2003 年 Yamaha Corporation of America 取締役社長 2006 年 当社執行役員 2007 年 同 国内営業本部長 現在に至る 2009 年 同 取締役執行役員 楽器・AV 営業統括 現在に至る 34 Yamaha Corporation 中田 卓也 監査役 常勤監査役 常勤監査役 1968 年 当社入社 2001 年 同 執行役員 2003 年 同 取締役 2006 年 同 顧問 2007 年 同 常勤監査役 現在に至る 1974 年 当社入社 1994 年 ヤマハリビングテック株式会社 牧野 時久 矢部 久 経営管理本部経理部長 2000 年 ヤマハリゾート株式会社取締役 2004 年 当社リゾート統括本部長 2008 年 同 常勤監査役 現在に至る 社外監査役(弁護士) 社外監査役 社外監査役(公認会計士) 1979 年 裁判官任官 1988 年 裁判官退官 1974 年 ヤマハ発動機株式会社入社 1999 年 同 取締役 2001 年 株式会社 ワイ・イー・シー*1 取締役 2005 年 株式会社アルファ情報システムズ 1983 年 アーサーアンダーセン公認会計士 2006 年 当社社外監査役 現在に至る 2004 年 ローム株式会社社外監査役 三浦 州夫 弁護士登録(大阪弁護士会入会) 1997 年 河本・三浦法律事務所設立 現在に至る 2003 年 当社社外監査役 現在に至る 寺井 康晴 代表取締役社長 ヤマハモーターソリューション 株式会社*2 代表取締役社長 2008 年 同 顧問 2009 年 同 顧問退任 喜多村 晴雄 共同事務所入所 1987 年 公認会計士登録 2002 年 喜多村公認会計士事務所開設 現在に至る 現在に至る 2009 年 当社社外監査役 現在に至る *1 現 ヤマハモーターエンジニアリング株式会社 *2 株式会社アルファ情報システムズより社名変更 執行役員 岡部 比呂男 高橋 源樹 常務執行役員[経営企画統括] 執行役員[プロダクティブテクノロジー事業統括、 プロセス管理統括、ゴルフHS 事業部担当] 佐々木 勉 近藤 昌夫 土井 好広 中田 卓也 小原 辰三 越場 正明 小野田 孝 加藤 政人 三木 渡 安部 盛次 細井 正人 飯塚 朗 大澤 博史 大池 真人 常務執行役員[楽器事業統括] 執行役員[経営管理統括、総務部長] 執行役員[ PA・DMI 事業部長] 執行役員[ピアノ事業部長] 執行役員[製造企画部長] 執行役員[ Yamaha Corporation of America 取締役社長] 執行役員[サウンド・IT 事業統括、AV 機器事業部長] 執行役員[サウンドネットワーク事業部長] 執行役員[経営企画室長] 執行役員[人事部長] 八幡 泰司 執行役員[楽器・AV 営業統括、国内営業本部長] 執行役員[雅馬哈楽器音響(中国)投資有限公司総経理] 執行役員[広報部長] 執行役員[ INFO サウンド開発推進室長] 執行役員[ Yamaha Music Europe GmbH 取締役社長] (2009 年 7 月1 日現在) Annual Report 2009 35 主要財務指標の推移 ヤマハ株式会社及び連結子会社 3 月31 日に終了した各会計年度 百万円 2009 2008 2007 2006 ¥ 459,284 ¥ 548,754 ¥ 550,361 ¥ 534,084 売上原価 290,381 343,688 352,381 341,816 売上総利益 168,902 205,066 197,980 192,267 販売費及び一般管理費 155,057 172,220 170,295 168,132 13,845 32,845 27,685 24,135 税金等調整前当期純利益(損失) (12,159) 62,510 33,101 35,842 当期純利益(損失) (20,615) 39,558 27,866 28,123 設備投資額 22,581 24,394 25,152 22,882 減価償却費 17,912 20,289 19,956 18,944 研究開発費 23,218 24,865 24,220 24,055 営業活動によるキャッシュ・フロー (2,235) 37,225 39,732 25,510 投資活動によるキャッシュ・フロー (25,999) 41,999 (22,427) (18,104) フリー・キャッシュ・フロー (28,234) 79,225 17,305 7,406 会計年度: 売上高 営業利益(損失) 会計年度末: 総資産 ¥ 408,974 ¥ 540,347 ¥ 559,031 ¥ 519,977 流動資産 202,097 275,754 231,033 209,381 流動負債 90,050 120,174 136,656 117,047 有利子負債 19,192 21,036 25,551 28,474 251,841 343,028 351,398 316,005 純資産 * 円 1株当たり情報: 当期純利益(損失) 純資産 * 配当金** ¥ (103.73) ¥ 191.76 ¥ 135.19 ¥ 136.04 1,262.42 1,646.44 1,680.91 1,532.62 42.50 50.00 22.50 20.00 8.4 9.5 % レシオ: * ROE(自己資本当期純利益(損失)率) (7.0) 11.5 ROA(総資産当期純利益(損失)率) (4.3) 7.2 5.2 5.5 自己資本比率* 60.9 62.9 62.0 60.8 インタレスト・カバレッジ (倍) 26.74 34.56 47.83 36.89 流動比率 224.4 229.5 169.1 178.9 – 26.1 16.6 14.7 連結配当性向 *「純資産」 「 自己資本比率」 「 ROE(自己資本当期純利益率)」は、2006 年 3 月期まではそれぞれ「株主資本」 「 株主資本比率」 「 ROE(株主資本当期純利益率)」を開示しています。 **「 1 株当たり配当金」は、2008 年 3 月期と 2009 年 3 月期はそれぞれ特別配当 20 円を含みます。 36 Yamaha Corporation 百万円 2005 2004 2003 2002 2001 2000 1999 ¥ 534,079 ¥ 539,506 ¥ 524,763 ¥504,406 ¥519,104 ¥ 527,897 ¥ 563,751 335,483 337,813 338,307 198,595 201,693 186,456 340,411 346,200 371,758 402,239 163,994 172,904 156,140 161,511 162,899 156,637 35,695 45,056 154,413 152,951 149,902 148,057 161,608 32,043 11,043 23,001 8,082 (97) 33,516 47,456 19,697 43,541 22,612 (5,784) 23,491 (47,601) (6,532) 17,947 (10,274) 13,320 (40,777) (15,879) 22,702 21,160 16,883 16,627 14,770 18,544 34,342 18,958 17,522 17,586 18,767 17,310 28,635 36,446 22,953 22,503 22,441 22,539 21,158 22,588 20,700 39,588 58,349 33,052 29,016 (9,089) 10,851 – (12,896) (18,775) (21,645) (10,437) (5,441) 12,474 – 26,692 39,574 11,407 18,579 (14,530) 23,325 – ¥ 505,577 ¥ 508,731 ¥ 512,716 ¥509,663 ¥522,486 ¥ 543,088 ¥ 532,852 225,581 201,704 221,089 211,140 231,872 205,979 212,911 145,820 123,596 158,148 144,498 175,371 178,281 189,386 46,598 48,871 90,436 96,166 103,304 88,167 97,318 275,200 259,731 214,471 201,965 196,733 221,750 214,896 64.50 ¥ (197.45) 円 ¥ 86.65 ¥ (49.75) 1,259.28 1,040.06 978.15 952.62 1,073.75 1,040.56 15.00 10.00 8.00 7.00 3.00 6.00 6.4 (18.7) (7.1) 95.06 ¥ 210.63 1,334.51 20.00 ¥ ¥ ¥ (76.89) % 7.4 18.4 8.6 (5.2) 3.9 8.5 3.5 (2.0) 2.5 (7.6) (2.9) 54.4 51.1 41.8 39.6 37.7 40.8 40.3 44.62 36.51 19.97 5.07 8.82 4.46 1.26 154.7 163.2 139.8 146.1 132.2 115.5 112.4 21.0 7.1 11.5 – 10.9 – – Annual Report 2009 37 財政状態及び経営成績の説明及び分析 n 2009 年 3 月期は対前期減収減益 当期損益は営業利益減少と事業構造改革に伴う特別損失の計上で、7 期ぶりの最終赤字 n 景況感の悪化、円高影響により、各セグメントとも減収減益 n 総額約 180 億円の自己株式取得と消却の実施 n 事業構造改革のためのリストラクチャリングと固定資産、のれんの減損処理による経営体質強化 概観 経済環境 価格の引き上げなどを実施しました。加えて中長期での事業構 造の見直しの観点から、事業ごとのレビューと今後の事業の方 2009 年 3 月期は、米国のサブプライムローン問題に端を発し 向性の検討を進めています。 た金融不安が実体経済に波及し、米国はもとより、欧州、日本な 以上の結果、2009 年 3 月期の売上高は4,592 億 84 百万円 ど、世界規模で景気が減速しました。特に秋以降、大手金融機 (前期比 16.3% 減少)、営業利益は138 億 45 百万円(前期比 関の破綻をきっかけに金融不安が増幅し、それまで成長を牽引 となりました。当期純損益は構造改革費用や固定 57.8% 減少) してきたエマージング市場でも減速に転じるなど、深刻な世界 資産、のれんの減損損失などを特別損失として計上したことに 同時不況の様相となりました。わが国でも、期前半は原油や原 より、206 億15 百万円の当期純損失(前期は395 億58 百万円の 材料価格の高騰により、期後半では急激な円高の進行により、 当期純利益) となりました。 企業収益が大幅に悪化し、また生産調整に伴う雇用不安の拡 大、先行き不透明感が増すなかで、個人消費が一段と冷え込む 事業構造改革 など深刻な経済状況となりました。 当社では、中長期での事業構造の見直しの観点から「経営改 革委員会」を組織し、事業ごとのレビューと今後の事業の方向性 当社を取り巻く事業環境 の検討を進めています。 マクロ経済環境の悪化影響を受け、主力の楽器やAV 機器など 2009 年3 月期では、48 億63 百万円の構造改革費用を特別損 直接顧客と接する事業では、米国市場での販売不振が日本、欧 失として計上しました。このなかで、2007 年に閉鎖した米国の 州やエマージング市場にも徐々に波及し、期後半で減速感を強 ピアノ・管楽器工場に続き、イギリス及び台湾のピアノ製造子会 めました。 社解散の方針を決定しました。これで、当社のピアノ生産拠点 また法人向け事業では、自動車、携帯電話、デジタルカメラな は、日本(2010 年夏をめどに本社工場を閉鎖し、掛川工場に統 どの販売低迷とそれに伴う在庫調整の影響を受け、高級自動車 合集約)、中国、インドネシアの 3 カ所となります。また、一眼レ 用内装部品、マグネシウム成形部品、携帯電話用音源 LSIなど フデジタルカメラ用のマグネシウム成形部品事業から撤退するこ が、期後半にかけて大幅な受注減少となりました。 とを決定しました。リビング事業では、灯油給湯機・ボイラーの さらに、期前半での楽器の材料となる銅、ニッケル、鉄や樹 製造、販売から撤退し、同事業の選択と集中を一層進めました。 脂などの原材料価格の上昇や急激な円高は、収益の悪化を招き 電子部品事業では、期待していたシリコンマイクの開発が遅れ、 ました。 競争の激化により販売価格が下落し、今後の黒字化が難しいこ 業績の総括 とから、シリコンマイクの事業化を断念することとしました。 以上の構造改革費用に加え、固定資産、のれんの減損処理 2009 年 3 月期は厳しい事業環境の下、当社は高付加価値商 などを実施し、各事業での早期の収益力改善を目指します。連 品の開発や成長事業領域への積極的な投資を行うとともに、中 結損益計算書上には、減損損失153 億23 百万円及び関係会社 国市場での拡販やエマージング市場の開拓に努めました。また、 出資金評価損33 億1 百万円として特別損失に計上しています。 国内外の生産拠点統廃合による収益力の向上や欧州販売現地 今後も引き続き、不採算事業を中心に利益計画の検討、見直し 法人の再編による経営の効率化にも取り組みました。一方で、 を進め、必要に応じさらなる構造改革にも着手していきます。 想定を超える世界経済の減速に対応するため「経営改革委員 会」を組織し、短期的な収益力向上のための経費削減、投資の 見直し、資材・原材料価格の低減、為替変動対応としての販売 38 Yamaha Corporation 経営成績に関する分析 売上高 セグメント別売上高の状況 AV・IT 事業 2009 年 3 月 期 の 売 上 高 は、前 期に 比 べ 140 億 91 百 万 円 (19.9% )減少し567 億 22 百万円となりました。AV 機器は、世 2009 年 3 月 期 の 売 上 高 は、前 期に 比 べ 894 億 69 百 万 円 界的な景気減速の影響を受け、AVレシーバーやホームシアター (16.3% )減少し4,592 億 84 百万円となりました。2008 年 3 月 商品が主要市場の北米、欧州で販売が苦戦しました。フロント・ 期に実施した電子金属事業及びレクリェーション事業の一部譲 サラウンド・システム商品は、テレビラックにデジタル・サウンド・ 渡による売り上げ減少(約 143 億円)、為替影響による売り上げ プロジェクター ®YSPシリーズとサブウーファーを組み込んだ に加え、景況感の悪化などで、楽器事業セグ 減少(約349 億円) YRS-1000 が、日本市場で引き続き好調な出荷となりましたが、 メントを始め全セグメントで減収となりましたが、特に電子部品 欧米市場では売り上げ減少となりました。また、ルーターやOEM 事業、その他の事業セグメントが大幅な落ち込みとなりました。 で供給している業務用通信カラオケ機器も、前期に比べ減収と なりました。会議システムは販路開拓が遅れ、伸び悩みました。 楽器事業 2009 年 3 月 期 の 売 上 高 は、前 期に 比 べ 333 億 90 百 万 円 (9.8% )減少し3,066 億 30 百万円となりました。為替影響によ 電子部品事業 2009 年 3 月 期 の 売 上 高 は、前 期に 比 べ 230 億 24 百 万 円 の影響を除いた実質ベースの売上高は、 る減収分(約276 億円) (51.2% )減少し219 億75 百万円となりました。前期に実施した 新規連結会社の売上高約51 億円を含め、前期に比べ約58 億円 を除いた半導体事業の 電子金属事業の譲渡の影響(約92 億円) (1.7% )の減収となりました。 の減収とな みの売り上げでは、前期に比べ約139 億円(38.7% ) 商品別には、ピアノは、中国市場では引き続き売り上げが増加 りました。半導体事業は、日本市場では携帯電話販売台数が減 しましたが、米国市場、日本市場では、需要の減少により、売り 少したことにより、また海外市場では一段と音源のソフト化が進 上げ減少となりました。全世界でのピアノの販売台数は、前期 行したことにより、携帯電話用音源 LSIが前期に比べ大幅な減 に比べ約 1,100 台減少し約94,200 台となりました。日本製の中 収となりました。アミューズメント用音源・画像LSIの出荷も市況 高級ピアノの販売が減少する一方、普及価格帯の中国製ピアノ 悪化の影響を受け、前期に比べ減少しました。薄型テレビ、携帯 の販売が増加し、販売単価の低下が進行しました。電子楽器は、 電話向けのデジタルアンプは、開発が遅れたことにより、出荷 北米市場を中心に減収となりました。管楽器は全般に振るいま 先が広がらず前期並みの売り上げにとどまりました。なお、携帯 せんでしたが、弦・打楽器はアコースティックギターが堅調に推 電話用音源LSIに代わる新デバイスとして期待していたシリコン 移しました。特に、エレクトリック・アコースティックギターは米 マイクは、競争激化による販売単価の下落で収益の確保が難し 国を中心に大きく伸長しました。電子ドラムも北米市場を中心に いと判断し、本格的な事業参入を断念することとしました。 増収となりました。成長を期待していたデジタルミキサーを中心 とするPA 機器は、市場の景気悪化影響を受け、前期並みの売り 上げにとどまりました。音楽ソフト事業は、CDなどの音楽ソフト や音楽出版が好調に推移しました。 現地通貨ベースでの地域別の売上高では、日本は前期に比 べ減収となりました。また、北米も景況感の悪化から、前期に比 べ大幅な減収となりました。一方欧州は、電子楽器新製品の効 果もあり、ほぼ前期並みの売り上げとなりました。その他の地域 では、中南米などで引き続き成長基調を維持し、売り上げを伸ば しました。中国は、杭州雅馬哈楽器有限公司(杭州ヤマハ) での ピアノの増産が進み、引き続き、前期に比べ2 桁の成長を維持し セグメント別売上高 (単位:百万円) 400,000 1 楽器 2 AV・IT 3 電子部品 4 リビング 5 その他 6 レクリェーション* 306,630 300,000 ました。 200,000 n n 2008年3月期 2009年3月期 *レクリェーション事業は 2009 年3 月期よりその他 の事業に含めています。 100,000 56,722 21,975 43,121 30,833 0 1 2 3 4 5 6 Annual Report 2009 39 リビング事業 欧州は、前期に比べ 173 億 4 百万円(16.6% )減少し868 億 2009 年 3 月 期 の 売 上 高 は、前 期 に 比 べ 23 億 98 百 万 円 10 百万円となりました。ユーロ安に伴う減収及び AV 機器が前 (5.3% )減 少し431 億 21 百 万 円となりました。システムキッ 期に比べ売り上げ減少となったことによります。一方楽器は、新 チン、システムバスとも、2007 年 6 月施行の改正建築基準法に を含めれば、ほぼ前期並みの売り上げとな 規連結(約 15 億円) よる住宅着工の落ち込みの鎮静化と、2008 年 12 月末が期限と りました。欧州での為替影響を除いた実質ベースでの売上高 なった住宅ローン減税獲得のための駆け込み需要もあり、年央 は、前期に比べ約 41 億円(3.9% )減少しました。 では盛り上がりを見せたものの、年明け以後は一転、新設住宅 アジア・オセアニア・その他の地域では、前期に比べ 68 億 83 着工数が前年同期を大きく下回り、売り上げが減少しました。こ 百万円(8.8% )減少し712 億 37 百万円となりました。中南米な うしたなかで、リフォーム事業を強化するため、引き続きショー どを中心に引き続き楽器事業が増収となりました。また、中国は ルームの新設、移転など利便性の向上やイベント展開に努める 杭州ヤマハでのピアノ増産も寄与し、楽器事業を中心に、引き続 とともに、販路開拓を進めましたが、売上高全体に占めるリ き前期に比べ2 桁の増収となりました。一方で、アジアにおける フォーム比率は、ほぼ前期並みの21%にとどまりました。 売り上げを牽引してきた韓国は、ウォン安が進行し減収となりま した。全体では、為替影響を除いた実質ベースでの売上高は、 その他の事業 前期に比べ約 50 億円(6.3% )増加しました。 2009 年 3 月 期 の 売 上 高 は、前 期に 比 べ 165 億 64 百 万 円 (34.9% )減少し308 億33 百万円となりました。前期に実施した を除 レクリェーション4 施設の譲渡による減収影響(約 51 億円) けば、前期に比べ約 115 億円(27.1% )の減収となりました。ゴ 地域別売上高 (単位:百万円) 300,000 ルフ用品は期の前半で国内販売が好調に推移したことにより、 前期に比べ増収となりましたが、高級自動車用内装部品や一眼 1 日本 2 北米 3 欧州 4 アジア・オセアニア・ 234,844 その他の地域 200,000 2008年3月期 n 2009年3月期 n レフデジタルカメラ用のマグネシウム成形部品は大幅な減収とな りました。FA 事業も景気低迷による企業の設備投資の減退で、 前期に比べ減収となりました。なお、マグネシウム成形部品事 100,000 86,810 66,392 71,237 業は、供給先メーカーからの受注状況を考慮しながら、2010 年 3 月までに事業撤退することを決定しました。 地域別売上高の状況 2009 年 3 月期の国内売上高は、前期に比べ 417 億 70 百万円 0 1 2 3 4 売上原価と販売費及び一般管理費 (15.1% )減少し、2,348 億 44 百万円となりました。事業譲渡に 2009 年 3 月期の売上原価は、前期に比べ 533 億 4 百万円 よる電子金属事業、レクリェーション4 施設の売り上げ減少に加 (15.5% )減少し2,903 億81 百万円となりました。原材料価格の え、すべてのセグメントで減収となったことによります。そのな 上昇による売上原価の増加(約 31 億円)はありましたが、減収 かで、特に半導体、高級自動車用内装部品、マグネシウム成形 に加え、円高、電子金属事業及びレクリェーション4 施設の事業 部品が大幅な減収となりました。 譲渡による売上原価の減少などによります。売上原価率は、前 海外売上高は、前期に比べ 476 億 98 百万円(17.5% )減少し 期の 62.6%から0.6 ポイント上昇し、63.2%となりました。 2,244 億 40 百万円となりました。円高に伴う減収に加え、世界 その 結 果、売 上 総 利 益 は 前 期 に 比 べ 361 億 63 百 万 円 的な景気減速の影響を受け、楽器、AV 機器などが前期に比べ実 (17.6% )減少し1,689 億 2 百万円となりました。売上総利益率 質売り上げ減少となったことによります。海外売上高比率は前 は、前期の37.4%から0.6 ポイント低下し、36.8%となりました。 期の 49.6%から0.7 ポイント低下し、48.9%となりました。 また、販売費及び一般管理費は、前期に比べ171 億63 百万円 地域別では、北米は前期に比べ235 億11 百万円(26.2% )減 (10.0% )低下し、1,550 億 57 百万円となりました。このうち、 少し663 億 92 百万円となりました。円高進行に伴う為替影響や 広告費及び販売促進費は前期の 290 億 33 百万円から61 億 78 景気減速に伴い、ピアノ、ポータブルキーボードや AV 機器など 百万円(21.3% )減少の228 億 55 百万円、人件費は前期の674 の売り上げが減少しました。北米での為替影響を除いた実質 億 87 百万円から43 億 41 百万円(6.4% )減少の 631 億 45 百万 ベースでの売上高は、前期に比べ約 137 億円(15.2% )減少し 円、また運送費も前期の173 億 59 百万円から12 億 75 百万円 ました。 40 Yamaha Corporation (7.3% )減少の160 億 83 百万円となりました。売上高販管費比 その他の事業は、前期の6 億 28 百万円の営業利益から27 億 率は、前期から2.4 ポイント上昇し33.8%となりました。なお、 29 百万円減益となり、21 億円の営業損失となりました。前期に 販売費及び一般管理費は円高による為替換算影響を除いた場 実施したレクリェーション事業の一部施設の譲渡による損益の改 合、実質約 97 億円の減少となりました。また、電子金属事業及 善はありましたが、高級自動車用内装部品、マグネシウム成形部 びレクリェーション4 施設の事業譲渡影響(約53 億円)及び新規 品が前期に比べ大幅な売り上げ減少となり、減益となりました。 連 結 会 社 影 響(約 34 億 円)を 考 慮 すれば、実 質 約 78 億 円 (4.5% )の減少となります。 営業利益 2009 年 3 月期の営業利益は、前期に比べ 189 億 99 百万円 セグメント別営業利益(損失) (単位:百万円) 30,000 20,000 1 楽器 2 AV・IT 3 電子部品 4 リビング 5 その他 6 レクリェーション* 19,198 (57.8% )減益の138 億45 百万円となりました。円高による為替 影響約 69 億円の減益要因を除くと、約 121 億円(37.0% )の実 10,000 n n 質減益となります。主な要因として、減産に伴う利益の減少、原 材料価格の上昇(約 31 億円)、退職給付債務の利差損(約 21 億 削減や販売価格の引き上げなどを実施しましたが、減益分を埋 められませんでした。 *レクリェーション事業は 2009 年3 月期よりその他 の事業に含めています。 0 (305) (410) 円)、のれんの償却などがあげられます。一方で、大幅な経費の (2,536) 2008年3月期 2009年3月期 (2,100) -10,000 1 2 3 4 5 6 セグメント別営業利益の状況 地域別営業利益の状況 事業の種類別セグメントの営業利益では、楽器事業は前期の 2009 年3月期の地域別の営業利益は、国内は前期に比べ162 279 億24 百万円から87 億26 百万円(31.3% )減益となり、191 億 18 百万円減少となり、16 億 47 百万円の損失となりました。 億 98 百万円となりました。景気の減速に伴い、売上高が前期に 円高による為替損に加え、半導体、リビング、その他の事業など 比べ減少したことに加え、円高による為替影響、原材料価格の での減収に伴い減益となったことによります。 上昇によるコスト増などにより売上総利益率が低下したことによ 北米は、前期に比べ 30 億 30 百万円減少し18 億 63 百万円と ります。 なりました。楽器、AV 機器とも前期に対し、大幅な減収となった AV・IT 事業は、前期の18 億39 百万円の営業利益から22 億49 ことが主な要因です。 百万円減益となり、4 億 10 百万円の営業損失となりました。世 欧州は、AV 機器の販売減少により、前期に比べ 6 億 46 百万 界的な景気低迷の影響で、AV 機器の売り上げが欧米市場を中 円減少し51 億 60 百万円となりました。 心に、前期に比べ大幅な減収となったことによります。 アジア・オセアニア・その他の地域では、前期に比べ 1 億 62 電子部品事業は、前期の 18 億 63 百万円の営業利益から44 百万円減少し77 億 96 百万円となりました。 億円減益となり、25 億 36 百万円の営業損失となりました。携 帯電話用音源 LSIのソフト化の進行や国内市場での携帯電話販 営業外損益 売台数の減少により、引き続き売り上げが減少となったことに 2009 年3月期の営業外収益は、前期の61 億92 百万円から23 よります。 億 36 百万円(37.7% )減少し、38 億 56 百万円になりました。こ リビング事業は、前期の5 億 88 百万円の営業利益から8 億 94 のうち、受取利息・受取配当金は、前期の 39 億 25 百万円から 百万円減益となり、3 億 5 百万円の営業損失となりました。売り 13 億 23 百万円(33.7% )減少し、26 億 1 百万円となりました。 上げの減少、原材料価格の上昇に伴う売上原価の増加などによ その他の営業外収入は、前期の21 億 20 百万円から8 億 66 百万 ります。 円(40.9% )減少し、12 億 54 百万円となりました。 Annual Report 2009 41 営 業 外 費 用は、前 期の 64 億 53 百 万 円から7 億 31 百 万 円 法人税、住民税及び事業税、法人税等調整額 (11.3% )減少し、57 億 22 百万円となりました。このうち、支払 2009 年 3 月期の法人税、住民税及び事業税、法人税等調整 利息は、前期の10 億68 百万円から4 億53 百万円(42.4% )減少 額は、前期の222 億63 百万円から135 億48 百万円(60.9% )減 し、6 億 15 百万円となりました。期日前決済に対する売上割引 少し、87 億 14 百万円となりました。 は、前期の 41 億 5 百万円から6 億 88 百万円(16.8% )減少し、 34 億16 百万円となりました。また、その他の営業外費用は前期 少数株主利益 の12 億 78 百万円から4 億 11 百万円(32.2% )増加し、16 億 90 2009 年 3 月期の少数株主利益は、前期の 6 億 89 百万円の利 百万円となりました。 益から9 億47 百万円減少し、2 億58 百万円の損失となりました。 特別損益 当期純利益 2009 年 3 月期の特別利益は、前期の 327 億 25 百万円から 以上の結果、2009 年 3 月期の当期純利益は、前期の395 億 319 億32 百万円(97.6% )減少し、7 億93 百万円となりました。 58 百万円の利益から601 億 73 百万円減少し、206 億 15 百万円 2008 年 3 月期に発生したヤマハ発動機(株)株式の一部売却に の損失となりました。売上高当期純利益率は前期の 7.2%から 伴う関係会社株式売却益297 億56 百万円がなくなったことが主 11.7 ポイント低下し、△ 4.5%となりました。1 株当たり当期純 な要因です。固定資産売却益は、前期の16 億56 百万円から13 利益は、前期の 191 円 76 銭に対し、2009 年 3 月期は103 円 73 億71 百万円減少し、2 億84 百万円となりました。投資有価証券 銭の損失となりました。 売却益も、前期の7 億 63 百万円から7 億 58 百万円減少し、5 百万円となりました。また、清算を決定した子会社の資産売却 為替変動とリスクヘッジ に伴い子会社清算益 2 億 31 百万円を計上しました。 当社は、楽器事業を中心にグローバルな事業展開をしており、 一方特別損失は、前期の27 億99 百万円から221 億33 百万円 為替変動の影響を受けやすい事業構造となっています。当社の 増加し、249 億 32 百万円となりました。主として構造改革費用 連結財務諸表は、米ドル、ユーロ、豪ドル、カナダドル、英ポンド (48 億 63 百万円)や固定資産の減損損失(153 億 23 百万円)、 などの通貨が為替換算リスク及び取引リスクによる為替影響を などを計上したことによ 関係会社出資金評価損(33 億1 百万円) 受けています。このうち、為替換算リスクは、連結子会社の特 ります。減損損失の内容は、半導体事業に係る固定資産の減損 定期間もしくは特定日の財務諸表を日本円に読み替える時に発 (55 億59 百万円)、レクリェーション事業に係る固定資産の減損 生するリスクで、取引リスクは収益と費用、資産と負債の通貨が (39 億 18 百万円)、のれんの減損(56 億 65 百万円)などです。 異なることによるリスクであり、取引リスクのみがリスクヘッジ また、構造改革費用は、イギリス及び台湾のピアノ製造子会社 の対象となります。具体的には、米ドルは輸出売上に伴う回収 解散に係る費用(16 億63 百万円)、欧州物流拠点再編に係る費 代金を輸入品代金支払いに充てる方法(マリー) による為替ヘッ 用(16 億 60 百万円)、マグネシウム成形部品事業の撤退に係る ジを行っており、ユーロ、豪ドル、カナダドルに対してはあらかじ 費用(8 億8 百万円)、半導体シリコンマイクの事業化断念に係る め想定される実需の範囲で、3 カ月前に行っています。 などを見積り、特別損失として計上しまし 費用(4 億 39 百万円) 海外連結子会社の売上高は、市場の期中平均レートを換算基 た。また、非連結子会社の出資金に係る評価損を関係会社出資 準としており、2009 年 3 月期の米ドルの期中平均レートは前期 金評価損として、33 億 1 百万円を計上しました。 に対し13 円円高の100 円となり、それに伴う影響額は前期に比 べ約109 億円の減収となりました。また、ユーロの期中平均レー 税金等調整前当期純利益 トは前期に対し17 円円高の144 円となり、前期に比べ約84 億円 2009 年 3 月期の税金等調整前当期純利益は、前期の 625 億 の減収となりました。また、豪ドル、カナダドルなど、米ドル、 10 百万円の利益から746 億 70 百万円減少し、121 億 59 百万円 ユーロ以外の通貨は、前期に比べ約 156 億円の減収影響とな の損失となりました。主として営業利益の減少と特別損失の大 り、売上高全体での為替影響額は、前期に比べ約349 億円の大 幅な増加によります。売上高税金等調整前当期純利益率は、前 幅な減収となりました。 期の 11.4%から14.0 ポイント低下し、△ 2.6%となりました。 42 Yamaha Corporation また、営業利益につきましては、米ドルは充当(マリー)効果 により、決済レートの変動による為替影響はほぼヘッジできて 財政状態に関する分析 財政に対する方針 いるものの、在外子会社の営業利益の換算などにより、約 4 億 当社及びグループ子会社は、事業活動のための運転資金確保 円の減益となりました。ユーロは、ユーロ売り予約効果もあり、 と事業拡大のための資金調達については、主として、手元資金 前期に対し5 円円高の153 円にとどまったものの、主に為替レー と営業活動によるキャッシュ・フローや銀行借入により、資金調達 トの変動により約17 億円の減益影響となりました。米ドル、ユー を行っています。 ロ以外の通貨での円高影響は、約47 億円となり、全体では前期 当社の財務運営方針としては、低コストかつ安定的な資金調 に比べ約 69 億円の減益影響となりました。 達を基本に、十分な流動性の確保を維持することとしています。 手元流動性については、連結売上高の1 カ月程度を目安とし 配当 ており、2009 年 3 月期末の現金及び預金 413 億 73 百万円でカ 2009 年3 月期の配当金は1 株当たり42 円50 銭としました。こ バーできていますが、中期的な資金の確保のため、金融機関と のうち、特別配当金は20 円、普通配当金は、業績の悪化に伴 の間で総額 200 億円のコミットメントラインを設定しています。 い、前期に比べ 7 円 50 銭減配し22 円 50 銭としました。 資金調達は各子会社での自己調達を原則としていますが、銀 なお特別配当金は、2008 年にヤマハ発動機(株)株式を一部 行との交渉については必要に応じて当社が関与しています。ま 売却したことに伴う売却代金の一部を、2008 年3 月期より2010 た国内子会社において余剰資金が発生した場合には、当社への 年3 月期までの3 年間に限り、1 株当たり20 円を株主還元するも 貸し付けを実施させ、グループ全体での効率な資金の活用を のです。 行っています。なお、一部の子会社では、キャッシュ・マネジメン ト・システムを導入しています。 配当性向及び 1 株当たり配当金 また、資本市場からの円滑な資金調達を促進するため、毎年、 (単位:%/円) 30.0 50.00 42.50 – n 40.00 n 配当性向(左軸) 別配当(右軸) 特 普通配当(右軸) 20.0 30.00 長期優先債務の格付けを格付け機関に依頼しており、下記のよ うな評価を得ています。 格付け 格付け機関 20.00 10.0 10.00 (株)格付投資情報センター( R&I ) (株)日本格付研究所( JCR ) 長期優先債務格付け A(安定的) AA−(安定的) 0 0 05/3 06/3 07/3 08/3 09/3 資産 2009 年 3 月末の総資産は、前期末の 5,403 億 47 百万円から 自己株式取得・消却 2009 年3月期は、上記のとおり、ヤマハ発動機(株)株式を一 部売却したことに伴う売却代金を原資に、9,033,800 株(発行 済み株式数の4.4% )の自己株式の取得を実施し、9,269,601 株 を消却しました。 (発行済み株式数の 4.5% ) 1,313 億 72 百万円(24.3% )減少し、4,089 億 74 百万円となり ました。このうち、流動資産は、前期末の 2,757 億 54 百万円か ら736 億 56 百万円(26.7% )減少し、2,020 億 97 百万円となり ました。また、固定資産は、前期末の 2,645 億 92 百万円から 577 億 15 百万円(21.8% )減少し、2,068 億 76 百万円となりま した。 流動資産 2009 年 3 月末の流動資産は、前期末に比べ 736 億 56 百万円 (26.7% )減少し、2,020 億97 百万円となりました。主として、法 人税等の支払い、自己株式の取得、配当金支払い、企業買収な どにより、現金及び預金、有価証券(譲渡性預金を含む) が減少 したこと、受取手形及び売掛金が減少したことなどによります。 Annual Report 2009 43 現金及び預金は、前期末に比べ322 億46 百万円(43.8% )減 投資その他の資産 少し413 億 73 百万円となりました。受取手形及び売掛金(貸倒 2009 年 3 月末の投資その他の資産は、前期末に比べて 468 引当金控除後)は、前期末に比べて 145 億 90 百万円(22.4% ) 億 77 百万円(38.3% )減少し756 億 67 百万円となりました。投 減少して505 億 36 百万円となりました。有価証券は、譲渡性預 資有価証券が前期末に比べて減少したことが主な要因です。 し 金の減少により前期末に比べ 299 億 19 百万円減少(95.9% ) 投資有価証券は、前期末に比べて528 億12 百万円(48.0% ) て 12 億 80 百万円となりました。棚卸資産は、前期末に比べ 43 減少し571 億 31 百万円となりました。主として、ヤマハ発動機 億90 百万円(5.8% )増加し806 億94 百万円となりました。この (株)及びその他の保有する上場株式の時価が下落したことによ なかには、為替影響による在庫の減少(約 61 億円)が含まれて ります。一方、繰延税金資産は、前期末に比べて75 億 1 百万円 おり、それを除けば実質約 105 億円(13.8% )の増加となりまし 増加し95 億 66 百万円となりました。 た。主として、楽器、半導体の在庫が売上高の減少により、増加 したことによります。他のセグメントの在庫は、おおむね適正水 負債 準といえます。繰延税金資産は、前期末に比べ 67 億 36 百万円 2009 年3月末の負債残高は、前期末の1,973 億18 百万円から (38.2% )減少し109 億 5 百万円となりました。その他の流動資 401 億84 百万円(20.4% )減少し、1,571 億33 百万円となりまし 産は、前期末に比べて 54 億 46 百万円(45.9% )増加し173 億 7 た。流動負債は、前期末から301 億 24 百万円(25.1% )減少し 百万円となりました。流動資産と後述の流動負債を比較した流 900 億50 百万円となりました。また、固定負債は前期末から100 動比率は2.24 倍と、ほぼ前期並み(前期末は2.29 倍)で、引き 億 60 百万円(13.0% )減少し670 億 83 百万円となりました。 続き高い流動性を維持しています。 固定資産 流動負債 2009 年 3 月末の流動負債は、前期末に比べて301 億 24 百万 有形固定資産 円(25.1% )減少し900 億 50 百万円となりました。主として、支 2009 年 3 月末の有形固定資産は前期末に比べて 119 億 62 払手形及び買掛金、未払金及び未払費用、未払法人税等が減 百万円(8.6% )減少し1,276 億 13 百万円となりました。主とし 少したことによります。 て、土地や製造設備などの減損を実施したことによります。 支 払 手 形 及 び 買 掛 金 は、前 期 末に 比 べ 93 億 91 百 万 円 建設仮勘定は、現在、建て替え中の銀座ビル、2010 年夏をめ (26.8% )減少し256 億 25 百万円となりました。また、短期借入 どに統合集約を進めている掛川ピアノ工場、増床を行っている 金及び1 年以内に返済期限が到来する長期借入金は、前期末に 中国・杭州ピアノ工場の設備投資が主な内容です。 比べて31 億91 百万円(16.9% )減少し、157 億円となりました。 未 払 金 及 び 未 払 費 用 は、前 期 末 に 比 べて 74 億 30 百 万 円 無形固定資産 2009 年 3 月末の無形固定資産は、前期末に比べて 11 億 25 百万円(45.5% )増加し35 億 96 百万円となりました。 のれんは、前 期 末 の 13 億 4 百 万 円 から9 億 98 百 万 円 (76.5% )減少し、3 億6 百万円となりましたが、その他の無形固 定資産が、前期末の11 億66 百万円から21 億23 百万円増加し、 (17.9% )減少し、340 億12 百万円となりました。未払法人税等 は、法人税の支払いに伴い、前期末に比べて 128 億 26 百万円 (86.0% )減少し、20 億 90 百万円となりました。また、イギリス 及び台湾ピアノ工場の閉鎖に係る費用などを構造改革費用引当 金として、31 億 61 百万円計上しました。 32 億90 百万円となりました。その他の無形固定資産の増加は、 固定負債 前期末までは、土地に計上していた一部子会社の土地の使用権 2009 年 3 月末の固定負債は、前期末に比べて100 億 61 百万 を会計処理基準の統一対応で、無形固定資産としたことにより 円(13.0% )減少し670 億 83 百万円となりました。主として、投 ます。 資有価証券の時価下落に伴い、長期繰延税金負債が減少したこ とによります。 長期借入金は、前期末に比べ13 億45 百万円(62.7% )増加し 34 億 91 百万円となりました。長期繰延税金負債は、前期末に 比べ 138 億 72 百万円(99.1% )減少し1 億 26 百万円となりまし た。また、長期預り金は、レクリェーション事業の会員預託金の 返還により、前期末に比べ 3 億 16 百万円(1.9% )減少し167 億 23 百万円となりました。 44 Yamaha Corporation 実質有利子負債 また、円高の進行により為替換算調整勘定が、前期末に比べ 有利子負債である長短借入金が191 億92 百万円ありますが、 125 億55 百万円減少し344 億95 百万円となりました。自己資本 現金及び預金が413 億 73 百万円あり、現金及び現金同等物か 比率は前期末の62.9%から60.9%へ2.0 ポイント低下しました。 ら長短借入金を差し引いた、2009 年 3 月末のネットでの現金及 なお、自己資本利益率( ROE )は、△ 7.0%となりました。 び現金同等物は、221 億 80 百万円となりました。これは、前期 末の829 億82 百万円(連結貸借対照表上の、有価証券に含まれ キャッシュ・フロー る譲渡性預金を含む) に比べ 608 億 1 百万円(73.3% )の減少と 2009 年 3 月期の営業活動によるキャッシュ・フローは、22 億 なりました。主として、法人税等の支払い、自己株式の取得、配 35 百万円の支出となりました。前期は372 億25 百万円を得られ 当金の支払い、事業成長のための企業買収資金の支払いなど ましたが、大幅な減益となったことに加え、法人税等の支払い を行ったことによります。 額が増加したことなどによります。 有利子負債 の支出となりました。前期は、ヤマハ発動機(株)株式の一部売 また、投資活動によるキャッシュ・フローは、259 億 99 百万円 (単位:百万円) 却を始めとする関係会社株式の売却による収入677 億78 百万円 50,000 が計上されたため、419 億99 百万円を得られましたが、2009 年 40,000 3月期では固定資産の取得に加え、フランスの業務用スピーカー を買収したことなどによります。 メーカー NEXO S.A.(ネキソ) 30,000 財務活動によるキャッシュ・フローは、310 億 41 百万円の支 20,000 19,192 出となりました。主として、自己株式の取得、配当金の支払いな どによります。前期の193 億 14 百万円から117 億 26 百万円支 10,000 出が増加しました。 0 05/3 06/3 07/3 08/3 09/3 上記のほか、為替影響や連結範囲の変更も含め、2009 年3月 期末の現金及び現金同等物は、前期末に対し621 億 47 百万円 減少し、412 億 23 百万円となりました。 純資産 2009 年 3 月末の純資産は、前期末の 3,430 億 28 百万円から 設備投資及び減価償却費 911 億 87 百万円(26.6% )減少し、2,518 億 41 百万円となりま 2009 年3月期の設備投資額は、期の後半で、業績改善施策と した。利益剰余金は、当期純損失206 億15 百万円に加え、配当 して不急の投資の繰り延べや中止など投資内容の見直しを進め 金の支払い 105 億 81 百万円、自己株式の取得と消却 183 億 28 た結果、前期の243 億 94 百万円から18 億 13 百万円(7.4% )減 百万円などにより、前期に比べ 525 億 67 百万円(22.9% )減少 少し、225 億81 百万円となりました。このうち、楽器事業は、前 し、1,767 億 39 百万円となりました。保有するヤマハ発動機 期の 164 億 72 百万円から16 億 79 百万円減少し147 億 93 百万 (株)株式及びその他の上場株式の時価評価により、その他有価 円となりました。新製品の金型投資、杭州ヤマハでのピアノ増 証券評価差額金は、前期に比べ291 億28 百万円(59.5% )減少 産投資、国内ピアノ生産拠点の掛川工場統合集約、従業員寮建 し、198 億 17 百万円となりました。 設投資、銀座ビル建て替えなどが主な内容です。 純資産 設備投資額及び減価償却費 (単位:百万円) (単位:百万円) 400,000 30,000 22,581 300,000 251,841 20,000 17,912 設備投資額 n その他 n 電子部品 n AV・IT n 楽器 n 減価償却費 200,000 10,000 100,000 0 0 05/3 06/3 07/3 08/3 09/3 05/3 06/3 07/3 08/3 09/3 Annual Report 2009 45 また、電子部品事業は、ヤマハ鹿児島セミコンダクタ (株) の更 新改修投資などで、前期の24 億 35 百万円から8 億 12 百万円増 2010年3月期の見通し 業績見通し 加し32 億 47 百万円となりました。リビング事業は、ショールー 2010 年 3 月期は、事業を取り巻く経営環境が引き続き不透明 ム投資などで、前期の6 億47 百万円から3 億59 百万円増加し10 に推移するなかで、円高基調が継続するものと見ています。こ 億 6 百万円となりました。 うしたなか、期前半までは、景気減速の影響で販売が伸び悩む 減価償却費は前期の 202 億 89 百万円から23 億 77 百万円 ものの、在庫調整が一巡してくると見ており、期後半では、景 (11.7% )減少し、179 億 12 百万円となりました。 気の回復が期待できるものと考えています。また、原材料価格 も徐々に低下するものと見ています。 研究開発費 2010 年 3 月期の業績見通しに際しては、通期の為替レートを 2009 年 3 月期の研究開発費は、前期から16 億 47 百万円 95 円/米ドル、120 円/ユーロ、60 円/豪ドル、75 円/カナダ (6.6% )減少し232 億18 百万円となりました。売上高研究開発 ドル、6.80 米ドル/人民元を前提としており、売上高は、世界的 費比率は前期の 4.5% から0.6 ポイント上昇し、5.1%となりま な景気の減速と円高影響により、対前期減収を見込んでいます。 した。 営業利益は、円高影響に加えて、販売数量減少や在庫調整に伴 内容としては、電子楽器、AV・IT 、半導体を中心とする商品 う減産影響などの減益要因に対し、グループをあげての経費削 開発費用が大半を占めており、具体的には、トータルピアノ戦略 減や楽器を中心とした販売価格の引き上げ努力に加え、原材料 のためのアコースティック技術とデジタル技術を融合したハイブ 価格の低下、前期に実施した構造改革効果が見込まれますが、 リッドピアノ開発のための研究、商品開発、デジタルネットワー それらをカバーするには至らず、対前期減益を見込んでいます。 ク技術を生かしたデジタル商品の開発、アナログ技術、デジタル 当期純利益については、前期に実施した特別損失がなくなるこ 技術にMEMS の技術を融合した高付加価値半導体の開発など とで、増益が見込まれます。 * が含まれます。 そのほか、音、音楽に係る基礎技術(音源技術、音声合成技 設備投資の見通し 術、建築音響技術など) の研究開発やスピーカー、センサーなど 2010 年3 月期の設備投資は、景況感が悪化するなか、さらに の新規デバイスの研究開発があげられます。 * :センサー、アクチュエー MEMS[ Micro Electro Mechanical Systems ] ター、電子回路などを一つのシリコン基板上に集積化したデバイス。具体 的には、シリコンマイク、センサーなど。 投資の絞り込みを実施し、2009 年3 月期の225 億81 百万円から 42 億 81 百万円(19.0% )減少の183 億円を予定しています。 2010 年 3 月期では、通常の新製品生産に伴う金型などの設 備投資、設備の更新改修投資、営業施策投資、研究開発投資、 合理化関連投資のほか、国内ピアノ工場集約のための投資、中 研究開発費 国でのピアノ増産投資、銀座ビル建て替え投資などを予定して (単位:百万円) 25,000 23,218 20,000 15,000 その他 n リビング n 電 子部品 n AV・IT n 楽 器 n います。 減価償却費は、2009 年 3月期で実施した減損影響もあり、 2009 年3月期の179 億12 百万円から152 億円へ27 億12 百万円 減少する見込みです。 利益還元方針(配当見通し) 10,000 当社は自己資本利益率( ROE )の向上を前提に、中期的な連 5,000 結利益水準をベースに、成長のための研究開発、設備投資など 0 05/3 06/3 07/3 08/3 09/3 経営基盤強化のために適正な内部留保を行うとともに、連結業 績を反映した配当を実施することを基本方針としています。具 体的には、継続的かつ安定的な配当を基本とし、連結配当性向 40%を目標に利益還元に努めます。この方針の下、2010 年3月 期では、1 株につき普通配当金 10 円とし、過年度に実施しまし たヤマハ発動機(株)株式の一部売却に伴う利益還元としての 特別配当金20 円と合わせて1 株当たり30 円の配当(うち中間配 を予定しています。 当金 15 円) 46 Yamaha Corporation 事業等のリスク 投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスクには、以下のようなものがあります。また、文中に おける将来に関する事項は、2009 年 3 月期末において当社グループが判断したものです。 1 経済状況に関するリスク 4 事業投資リスク 当社グループは、グローバルな事業展開を行っており、日本 当社グループは事業の拡大のため、事業投資を行っていま を始めとする世界各国の経済状況の影響を受けます。世界の市 す。投資決定に当たっては、投資効果とリスクを定性的かつ定 場における景気後退、これに伴う需要の減少は、当社グループ 量的に把握し、慎重に判断していますが、状況によっては、一 の収益拡大と事業展開に影響を与える可能性があります。 部または全部の投資額を回収できない、または撤退の場合に追 2 価格競争に関するリスク 当社グループは、事業を展開するそれぞれの分野で厳しい競 加損失が発生するリスクを負っています。このような場合、当 該投資を行った資産が減損の対象となる可能性もあります。 争にさらされています。例えば楽器事業では、総合楽器メーカー 5 他社との提携に関するリスク として高品質、高性能な製品を広い価格帯で販売していますが、 当社グループにおいて、他社との業務提携、出資、合弁会社 個々 の製品分野ごとに競合他社が存在しており、特に近年は、 の設立など、近年、他社とのパートナーシップ戦略の重要性が 普及価格帯製品における競争が激化しています。 増しています。これらの業務提携、出資などは、相手先との利 また、AV・IT 事業では、競合他社や中国製品の台頭のため低 害の対立や相手先の事業戦略の変更などにより、当初期待した 価格化競争にさらされており、今後の流通変革、新技術開発の 効果が得られない場合があります。 動向によっては、低価格化競争がさらに激化する恐れもあり、当 社グループの現在の優位性が影響を受ける可能性があります。 6 部材・部品事業における取引先への 3 新技術開発リスク 当社グループが製造・販売する半導体、システムキッチンな 依存に関するリスク 当社グループは、経営資源を The Sound Company 領域に どのリビング製品、自動車用内装部品、部材・部品は、供給先 集中し、楽器事業では世界一の総合楽器メーカーとしての地位 メーカーの業績の影響を受けます。また、供給先メーカーとの を不動のものとする一方、AV・IT 事業では、AV 機器のHiFi 商品 間で、納期・品質などで信頼関係が損なわれた場合、その後の を中心とし、電子部品事業では、音源を中心とする半導体を事 受注に悪影響を及ぼす可能性があります。また、品質などの欠 業の核として展開しています。 陥によって、供給先メーカーから補償を求められる可能性があ 音・音楽・ネットワーク関連技術の差別化を図ることが、当社 ります。 グループの発展、成長に不可欠な要素となっています。これら の技術開発が、将来の市場ニーズを正しく予想し、的確に行わ れない場合、楽器事業では、製品付加価値の低下、価格競争に 陥る恐れ、新規需要喚起ができないなどの問題が生じ、AV・IT 事業、電子部品事業では事業そのものの存続が困難となる可能 性があります。 Annual Report 2009 47 7 国際的活動及び海外進出に関するリスク 11 知的財産権の保護と利用に関するリスク 当社グループは、世界の各地域に製造・販売拠点を置き、グ 当社グループは、独自技術についての特許などの知的財産 ローバルな事業展開をしています。連結子会社 88 社のうち46 権、業務遂行上取得したノウハウを保有していますが、その一 社が海外法人であり、そのうちの19 社が製造会社で、主要製造 部は、特定地域では法的制限のため知的財産権による完全な保 拠点は中国、インドネシア、マレーシアに集中しています。また、 護が不可能、または限定的にしか保護されない状況にあります。 海外売上高は売上高の48.9%を占めています。 第三者が当社グループの知的財産権を利用することを、効果的 これらの海外市場での事業展開には、以下に掲げるようない に防止できない可能性があります。その結果、当該第三者の製 くつかのリスクが内在していますが、いったんこれらのリスクが 造した類似品、模倣品が市場に出回ることにより当社グループ 顕在化した場合には、例えば、製造においては拠点集中による 製品の販売に支障を来す可能性があります。また、当社グルー 弊害が顕著に現れ、安定的な製品供給ができなくなる可能性が プの製品が第三者から第三者の知的財産権を侵害しているとさ あります。 れる場合があり、その結果、これを利用した当社グループ製品 ①政治・経済の混乱、テロ、戦争 の販売が遅れたり、販売できなくなる可能性があります。 ②不利な政策の決定または規制の設定・変更 当社グループは、製品の重要な部分のいくつかについて第三 ③予期しない法律または規制の変更 者から知的財産権のライセンスを受けています。ロイヤルティー ④人材の確保の難しさ の上昇は、製造コストの増大を招き価格競争力に影響が出るほ ⑤原材料・部品調達の難しさ、技術水準の程度 か、ライセンスを受けられなくなった場合、当該製品の製造がで ⑥港湾ストなど物流の障害 きなくなる可能性があります。 8 原材料価格の高騰、原材料の供給、 12 製品・サービスの欠陥に関するリスク 物流コストに関するリスク 当社グループの製品は、当社が定めた品質保証規程によって 当社グループは製品の製造に当たり、木材、銅などの金属材 管理されています。しかしながら、製品のすべてについて欠陥 料、樹脂などを部品として使用していますが、これらの材料価格 がないという保証はありません。製造物責任賠償については保 の高騰が製造原価を増加させることがあります。また、材料の種 険に加入していますが、この保険で損害賠償額を十分にカバー 類によっては、特定の業者より供給を受けているものもあり、供 できるという保証はありません。製造物責任を伴う事故の発生 給状況によっては、製造に影響を受けることがあります。 があると保険料率の上昇が予想されます。また、製品回収、交 また、原油価格の高騰などにより物流コストが増加すると、製 換・補修、設計変更などによる多額のコスト増大、当社グループ 造原価及び販売における売上原価を増加させる原因となること の社会的評価の低下とそれによる売り上げ減少が予想されるこ があります。 とから、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能 9 少子化の影響によるリスク 性があります。 また、当社グループが営む小売店舗、音楽教室、レクリェー 当社グループの基幹事業である楽器事業では、子どもを中心 ション施設などにおける安全・衛生については十分注意を払っ とする音楽教室や英語教室を展開しているほか、学校を通じた ていますが、万一事故が発生した場合、店舗・教室・施設などの 販売も重要な販売経路となっています。今後、特に日本におけ 一時休業や社会的評価の低下とそれによる売り上げ減少が予想 る少子化の進行により、売上高の減少を招く可能性があります。 されます。 10 人材の確保・育成に関するリスク 当社は、平均年齢が高く、高年齢層が厚い従業員構成となっ ており、従業員が大量に定年退職時期を迎えています。楽器な どの製造にかかわる技能の伝承や、次世代を担う人材の確保・ 育成など、要員構造変化への対応が重要課題です。このような 要員構造変化への対応が十分にできない場合、事業活動や将 来の成長が阻害される可能性があります。 48 Yamaha Corporation 13 公法規制リスク 17 自然災害リスク 当社グループの事業は、全世界の拠点において、それぞれの 地震などの自然災害の発生により、当社グループの製造拠点 国における法律の適用を受け様々な規制の対象となっています。 などが損害を受ける可能性があります。特に当社の本社及び国 例えば、対外的投資、国家安全保障上の輸出入制限、通商規 内工場、主要国内子会社が集中している静岡県内においては、 制、独占禁止規制、消費者保護、税制、環境保護ほかの規制の 東海地震の発生が予想されています。また、製造拠点が集中す 適用を受けています。また、個人情報については、安全管理義 る中国、インドネシアやマレーシアにおいても、予期せぬ自然災 務が課せられています。当社グループは、コンプライアンスの 害が発生する恐れがあります。このような事象が発生した場合 遵守に尽力していますが、予期せずこれらの規制を遵守できな には、施設面での損害のほか、操業の中断や遅延、多額の復旧 かった場合、当社グループの企業活動が制限される可能性があ 費用の発生などが予想されます。 り、コストの増加につながる可能性があります。 14 環境保護規制に関するリスク 18 財政状態等の変動に係るリスク ①投資有価証券の評価 事業活動に対する環境保護規制は強化の方向にあり、企業の 当社グループは、時価のあるその他有価証券(2009 年3 月期 社会的責任の一つとして自主的な環境活動プログラムの実施が を保 末の取得原価 171 億円、連結貸借対照表計上額 499 億円) 求められています。当社グループは、製品、梱包材、省エネル 有しています。時価のあるその他有価証券は決算日の市場価格 ギー、産業廃棄物処理などについて環境基準を上回る対策の実 などに基づく時価法によって評価を行うため、決算日の株価に 施に努めていますが、事故などの発生により制限物質が環境基 よって貸借対照表計上額が変動し、その結果、純資産金額が変 準を超えることを完全に防止または軽減できる保証はありま 動する可能性があります。また、時価が取得価額に比べ著しく せん。また、工場跡地などで、制限物質により土壌が汚染され 下落した場合には減損の対象となる可能性があります。 ている場合には、将来、売却しようとする際、多額の浄化費用 が発生する、あるいは売却できない可能性があります。第三者 ②土地の含み損 に売却済みの土地から将来制限物質が拡散し、大気、地下水を 土地の再評価に関する法律に基づき再評価を行った土地の 汚染し、その対策費が発生する可能性があります。 15 情報漏洩リスク 当社グループは、様々な経営及び事業に関する重要情報や、 2009 年 3 月期末における時価と再評価後の帳簿価額との差異 は 121 億円であり、保有する土地に含み損が発生しています。 土地の売却などの場合には、この含み損が実現する可能性があ ります。 多数の顧客情報などの個人情報を保有しています。重要情報な どの管理については、方針や規定を策定し、情報セキュリティの ③退職給付債務及び退職給付費用 ための体制を整備していますが、万一これらの情報が誤って外 当社グループの退職給付債務及び費用は、採用する退職給 部に漏洩した場合には、当社グループの事業に重大な影響を与 付制度及び割引率や期待運用収益率などの見積りに基づいて え、あるいは社会的信用を低下させる可能性があります。 算出されています。退職給付制度は変更される場合があり、ま た見積りは決算期ごとの結果と相違することがあります。結果 16 為替レートの変動リスク として、退職給付債務及び費用が増加する可能性があります。 当社グループは、全世界において製造・販売などの企業活動 特に、株価の下落などにより、期待通りに運用収益が上げら を行っていますが、グループ各社における外貨建取引は為替レー れない場合、未認識の数理計算上の損失が発生し、将来の退職 トの変動の影響を受けます。外貨建取引については、短期的な 給付費用が増加する可能性があります。 為替変動の影響を最小限に止めるため先物為替予約取引などを 行っていますが、為替変動により当初の事業計画を達成できな い可能性があります。特に損益については、影響が大きいユー ロ・円レートにおいて、1 円変動すると約 4 億円の損益影響をも たらします。 Annual Report 2009 49 連結貸借対照表 ヤマハ株式会社及び連結子会社 3 月31 日現在 資産 流動資産: 現金及び預金 受取手形及び売掛金 有価証券 棚卸資産 繰延税金資産 その他 貸倒引当金 流動資産合計 百万円 千米ドル 2009 2008 2009 ¥ 41,373 51,938 1,280 80,694 10,905 17,307 (1,401) 202,097 ¥ 73,619 68,680 31,200 76,304 17,642 11,861 (3,554) 275,754 $ 421,185 528,739 13,031 821,480 111,015 176,189 (14,262) 2,057,386 有形固定資産: 建物及び構築物(純額) 機械装置及び運搬具・工具、器具及び備品(純額) 土地 リース資産(純額) 建設仮勘定 有形固定資産合計 38,885 23,196 56,690 521 8,318 127,613 4,129 139,575 395,857 236,140 577,115 5,304 84,679 1,299,125 57,131 436 6,234 9,566 306 5,587 79,263 109,943 265 6,264 2,065 1,304 5,172 125,016 581,604 4,439 63,463 97,384 3,115 56,877 806,912 ¥408,974 ¥540,347 $4,163,433 42,602 31,710 61,134 ̶ 投資その他の資産: 投資有価証券 長期貸付金 敷金及び保証金 繰延税金資産 のれん その他 投資その他の資産合計 資産合計 50 Yamaha Corporation 負債 流動負債: 支払手形及び買掛金 短期借入金 一年内返済予定の長期借入金 未払金及び未払費用 未払法人税等 特定取引前受金 繰延税金負債 百万円 2008 2009 ¥ 25,625 14,216 1,483 34,012 2,090 1,385 64 ¥ 35,017 14,419 4,472 41,443 14,916 1,840 7 120 3,755 $ 260,867 144,722 15,097 346,249 21,277 14,100 652 役員賞与引当金 ̶ 製品保証引当金 3,380 3,161 4,628 90,050 構造改革費用引当金 その他 流動負債合計 千米ドル 2009 ̶ 4,181 120,174 34,409 32,180 47,114 916,726 2,145 13,999 16,811 25,311 17,040 1,836 77,144 35,539 1,283 170,783 281,258 170,243 23,781 682,918 ̶ 固定負債: 長期借入金 繰延税金負債 再評価に係る繰延税金負債 退職給付引当金 長期預り金 その他 固定負債合計 3,491 126 16,776 27,628 16,723 2,336 67,083 純資産 株主資本: 資本金: 授権株式数―700,000,000 株 発行済株式数 2009―197,255,025 株 28,534 ̶ 290,482 2008―206,524,626 株 ̶ ̶ 40,054 176,739 (29) 245,298 28,534 40,054 229,307 (326) 297,570 407,757 1,799,236 (295) 2,497,180 19,817 (394) 18,769 (34,495) 3,697 2,845 251,841 ¥408,974 48,945 207 14,861 (21,940) 42,074 3,383 343,028 ¥540,347 201,741 (4,011) 191,072 (351,166) 37,636 28,963 2,563,789 $4,163,433 資本剰余金 利益剰余金 自己株式 株主資本合計 評価・換算差額等: その他有価証券評価差額金 繰延ヘッジ損益 土地再評価差額金 為替換算調整勘定 評価・換算差額等合計 少数株主持分 純資産合計 負債純資産合計 Annual Report 2009 51 連結損益計算書 ヤマハ株式会社及び連結子会社 3 月31 日に終了した各会計年度 百万円 千米ドル 2009 2008 2009 ¥459,284 290,381 168,902 155,057 13,845 ¥548,754 343,688 205,066 172,220 32,845 $4,675,598 2,956,134 1,719,454 1,578,510 140,945 受取利息・受取配当金 2,601 ̶ 3,925 145 (1,068) (4,105) 786 763 29,057 (814) 26,479 持分法による投資利益 売上高 売上原価 売上総利益 販売費及び一般管理費 営業利益 その他の収益(費用) : 支払利息 売上割引 固定資産処分損益(純額) 投資有価証券売却益 関係会社株式売却益(純額) 特別退職金 減損損失 構造改革費用 関係会社出資金評価損 その他(純額) 税金等調整前当期純利益又は税金等調整前当期純損失 (615) (3,416) (621) 5 ̶ (96) (15,323) (4,863) (3,301) (373) (26,004) ̶ (6,261) (34,776) (6,322) 51 ̶ (66) 1,042 29,665 (977) (155,991) (49,506) (33,605) (3,797) (264,726) (12,159) 62,510 (123,781) 3,790 4,924 8,714 (20,873) (258) ¥ (20,615) 17,552 4,710 22,263 40,247 689 ¥ 39,558 38,583 50,127 88,710 (212,491) (2,626) $ (209,865) ̶ ̶ 法人税等: 法人税、住民税及び事業税 法人税等調整額 少数株主利益控除前当期純利益又は少数株主損失控除前当期純損失 少数株主利益又は少数株主損失 当期純利益又は当期純損失 52 Yamaha Corporation 連結株主資本等変動計算書 ヤマハ株式会社及び連結子会社 3 月31 日に終了した各会計年度 百万円 株主資本 2007 年 3 月31 日残高 資本金 資本 剰余金 利益 剰余金 ¥ 28,534 ¥ 40,054 ¥ 260,555 評価・換算差額等 自己株式 ¥ (339) 株主 資本合計 ¥ 328,804 その他 有価証券 評価差額金 ¥ 13,718 繰延 ヘッジ 損益 ¥ (406) 土地 再評価 差額金 少数 為替換算 評価・換算 株主持分 純資産合計 調整勘定 差額等合計 ¥ 18,116 ¥ (13,765) ¥ 17,662 ¥ 4,931 ¥ 351,398 当期変動額: 剰余金の配当 (7,736) (7,736) (7,736) 当期純利益 39,558 39,558 39,558 連結範囲の変動 (656) 持分法の適用範囲の変動 (60,275) 土地再評価差額金の取崩 (2,137) 43 自己株式の取得 (29) (656) (656) (60,232) (60,232) (2,137) (2,137) (29) 株主資本以外の項目の当期変動額(純額) 当期変動額合計 2008 年 3 月31 日残高 (29) 35,227 ̶ ̶ (31,247) ¥ 28,534 ¥ 40,054 ¥ 229,307 ¥ 614 (3,254) (8,175) 24,411 (1,547) 22,864 13 (31,234) 35,227 614 (3,254) (8,175) 24,411 (1,547) (8,369) (326) ¥ 297,570 ¥ 48,945 ¥ 207 ¥ 14,861 ¥ (21,940) ¥ 42,074 ¥ 3,383 ¥ 343,028 当期変動額: 剰余金の配当 (10,581) (10,581) (10,581) 当期純損失 (20,615) (20,615) (20,615) 981 981 981 (3,907) (3,907) (3,907) (18,032) (18,032) (18,032) 18,328 ̶ ̶ (115) (115) 連結範囲の変動 土地再評価差額金の取崩 自己株式の取得 自己株式の消却 (18,328) その他 (115) 株主資本以外の項目の当期変動額(純額) 当期変動額合計 2009 年 3 月31 日残高 ̶ ̶ (52,567) ¥28,534 ¥40,054 ¥176,739 ¥ (29,128) (601) 3,907 (12,555) (38,377) (538) 296 (52,271) (29,128) (601) 3,907 (12,555) (38,377) (538) (38,916) (91,187) (29) ¥245,298 ¥ 19,817 ¥(394) ¥18,769 ¥(34,495) ¥ 3,697 ¥ 2,845 ¥251,841 千米ドル 株主資本 資本金 2008 年 3 月31 日残高 資本 剰余金 利益 剰余金 評価・換算差額等 自己株式 $ 290,482 $ 407,757 $ 2,334,389 $ 株主 資本合計 (3,319) $ 3,029,319 その他 有価証券 評価差額金 繰延 ヘッジ 損益 土地 再評価 差額金 少数 為替換算 評価・換算 株主持分 純資産合計 調整勘定 差額等合計 $ 498,269 $ 2,107 $ 151,288 $ (223,353) $ 428,321 $ 34,440 $ 3,492,090 当期変動額: 剰余金の配当 (107,717) (107,717) (107,717) 当期純損失 (209,865) (209,865) (209,865) 9,987 9,987 9,987 (39,774) (39,774) (39,774) (183,569) (183,569) (183,569) 186,583 ̶ ̶ (1,171) (1,171) 連結範囲の変動 土地再評価差額金の取崩 自己株式の取得 自己株式の消却 (186,583) その他 (1,171) 株主資本以外の項目の当期変動額(純額) 当期変動額合計 2009 年 3 月31 日残高 ̶ ̶ (535,142) $290,482 $407,757 $1,799,236 $ 3,013 (532,129) (295) $2,497,180 (296,529) (6,118) 39,774 (127,812) (390,685) (5,477) (396,172) (296,529) (6,118) 39,774 (127,812) (390,685) (5,477) (928,301) $ 201,741 $(4,011) $191,072 $(351,166) $ 37,636 $28,963 $2,563,789 Annual Report 2009 53 連結キャッシュ・フロー計算書 ヤマハ株式会社及び連結子会社 3 月31 日に終了した各会計年度 百万円 営業活動によるキャッシュ・フロー: 税金等調整前当期純利益又は税金等調整前当期純損失 減価償却費 減損損失 のれん償却額 貸倒引当金の増減額 関係会社出資金売却損 関係会社株式評価損 関係会社出資金評価損 投資有価証券評価損 退職給付引当金の増減額 受取利息及び受取配当金 支払利息 為替差損益 持分法による投資損益 投資有価証券売却益 関係会社株式売却益(純額) 固定資産処分損益(純額) 構造改革費用 特別退職金 子会社清算益 売上債権の増減額 棚卸資産の増減額 仕入債権の増減額 その他(純額) 小計 利息及び配当金の受取額 利息の支払額 法人税等の支払額 営業活動によるキャッシュ・フロー 投資活動によるキャッシュ・フロー: 定期預金の増減額(純額) 有形固定資産の取得による支出 有形固定資産の売却による収入 連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出 投資有価証券の取得による支出 投資有価証券の売却及び償還による収入 関係会社株式の取得による支出 関係会社株式の売却による収入 関係会社出資金の払込による支出 関係会社出資金の売却に伴う連結除外による減少 その他(純額) 投資活動によるキャッシュ・フロー 財務活動によるキャッシュ・フロー: 短期借入金の増減額(純額) 長期借入れによる収入 長期借入金の返済による支出 会員預り金の預りによる収入 会員預り金の返還による支出 自己株式の取得による支出 配当金の支払額 少数株主への配当金の支払額 その他(純額) 財務活動によるキャッシュ・フロー 現金及び現金同等物に係る換算差額 現金及び現金同等物の増減額 現金及び現金同等物の期首残高 新規連結に伴う現金及び現金同等物の増加額 連結除外に伴う現金及び現金同等物の減少額 現金及び現金同等物の期末残高 54 Yamaha Corporation 千米ドル 2009 2008 2009 ¥ (12,159) 17,912 15,323 1,422 (116) ¥ 62,510 20,289 $ (123,781) 182,348 155,991 14,476 (1,181) ̶ 163 3,301 277 2,456 (2,601) 615 (144) 7 (4) ̶ 621 4,863 96 (231) 13,432 (8,859) (9,540) (7,433) 19,399 2,649 (638) (23,646) (2,235) 423 (20,522) 1,397 (8,073) (99) 3,015 (630) 60 (869) ̶ (702) (25,999) 176 2,756 (4,622) 17 (485) (18,032) (10,581) (228) (41) (31,041) (3,668) (62,943) 103,371 1,107 (311) ¥ 41,223 ̶ 539 (366) 21 63 66 263 (1,276) (3,925) 1,068 393 (145) (763) (29,057) (786) ̶ 814 ̶ 3,093 (3,844) (1,800) (4,040) 43,118 3,912 (1,079) (8,725) 37,225 (298) (25,364) 6,316 ̶ (84) 811 (2,268) 67,778 (3,020) (3) (1,866) 41,999 190 2,212 (4,256) 13 (9,483) (29) (7,736) (224) ̶ (19,314) (2,398) 57,512 45,926 41 (108) ¥103,371 ̶ 1,659 33,605 2,820 25,003 (26,479) 6,261 (1,466) 71 (41) ̶ 6,322 49,506 977 (2,352) 136,740 (90,186) (97,119) (75,669) 197,485 26,967 (6,495) (240,721) (22,753) 4,306 (208,918) 14,222 (82,185) (1,008) 30,693 (6,414) 611 (8,847) ̶ (7,146) (264,675) 1,792 28,057 (47,053) 173 (4,937) (183,569) (107,717) (2,321) (417) (316,003) (37,341) (640,772) 1,052,336 11,269 (3,166) $ 419,658 このアニュアルレポートは、海外向けに作成された 英語版アニュアルレポートを日本語に翻訳したもので す。このため、当連結財務諸表は日本国外の読者が 読み易いよう、日本において一般に公正妥当と認め られる企業会計の基準に準拠して作成された財務諸 表に、若干の科目の組み替えを行っています。また、 米ドルによる表示は、日本国外の読者に対して便宜的 に表示するものであり、2009 年3 月31日現在の東京 外国為替市場での実勢為替相場1 米ドル=98.23 円の 為替レートを用いて換算しています。 なお、当連結財務諸表は、英語版が正規であり日 本語版には注記事項が記載されておりません。必要 な場合は、英語版アニュアルレポート 2009もしくは 有価証券報告書をご参照ください。 Annual Report 2009 55 主要ネットワーク 海外ネットワーク 11 12 18 22 13 14 15 7 16 17 20 19 21 32 28 44 31 29 30 23 24 43 42 4 5 6 1 2 3 25 26 27 8 34 35 9 33 36 37 38 39 40 41 10 45 製造・制作会社等 販売会社等 企業名 所在地 企業名 所在地 1 Yamaha Corporation of America 米国・カリフォルニア・ブエナパーク 23 台湾山葉楽器製造股份有限公司 台湾・桃園 2 Yamaha Electronics Corporation, USA 米国・カリフォルニア・ブエナパーク 24 功学社山葉楽器股份有限公司 台湾・台北 3 Yamaha Commercial Audio Systems, Inc. 米国・カリフォルニア・ブエナパーク 25 雅馬哈楽器音響(中国)投資有限公司 中国・上海 4 Yamaha Music InterActive, Inc. 米国・ニューヨーク 26 雅馬哈楽器技術培訓(上海)有限公司 中国・上海 5 YMH Digital Music Publishing, LLC*1 米国・ニューヨーク 27 雅馬哈貿易(上海)有限公司 中国・上海 6 Yamaha Artist Services, Inc. 米国・ニューヨーク 28 雅馬哈電子(蘇州)有限公司 中国・蘇州 7 Yamaha Canada Music Ltd. カナダ・トロント 29 蕭山雅馬哈楽器有限公司 中国・杭州 8 Yamaha de México, S.A. de C.V. メキシコ・メキシコシティ 30 杭州雅馬哈楽器有限公司 中国・杭州 9 Yamaha Music Latin America, S.A. パナマ 31 天津雅馬哈電子楽器有限公司 中国・天津 10 Yamaha Musical do Brasil Ltda. ブラジル・サンパウロ 32 Yamaha Music Korea Ltd. 韓国・ソウル 11 Yamaha Music Europe GmbH ドイツ・レリンゲン 33 Yamaha Music( Asia )Pte Ltd シンガポール 12 Steinberg Media Technologies GmbH ドイツ・ハンブルク 34 Yamaha Music( Malaysia )Sdn. Bhd. マレーシア・ペタリンジャヤ 13 Yamaha Music UK Ltd. イギリス・ミルトンキーンズ 35 Yamaha Electronics Manufacturing( M )Sdn Bhd マレーシア・チモー 14 Kemble & Company Ltd. イギリス・ミルトンキーンズ 36 PT. Yamaha Indonesia インドネシア・東ジャカルタ 15 Kemble Music Ltd. イギリス・ロンドン 37 PT. Yamaha Music Manufacturing Indonesia インドネシア・東ジャカルタ 16 Yamaha Musique France フランス・クロワシーボーブール 38 PT. Yamaha Musik Indonesia( Distributor ) インドネシア・中央ジャカルタ 17 Nexo S.A. フランス・パリ 39 PT. Yamaha Music Manufacturing Asia インドネシア・ブカシ 18 Yamaha Scandinavia AB スウェーデン・イエーテボリ 40 PT. Yamaha Musical Products Indonesia インドネシア・パスルアン 19 Yamaha Música Ibérica, S.A. Unipersonal スペイン・マドリード 41 PT. Yamaha Electronics Manufacturing Indonesia インドネシア・パスルアン 20 Yamaha Musica Italia S.p.A. イタリア・ミラノ 42 Siam Music Yamaha Co., Ltd.*2 タイ・バンコク 21 L. Bösendorfer Klavierfabrik GmbH*3 オーストリア・ウィーン 43 Yamaha Music India Pvt. Ltd.*2 インド・グルガオン 22 Yamaha Music( Russia )LLC. *3 ロシア・モスクワ 44 Yamaha Music Gulf FZE UAE・ドバイ 45 Yamaha Music Australia Pty. Ltd. オーストラリア・メルボルン *1 持分法適用会社 *2 非連結子会社、関連会社 *3 2010 年 3 月期より連結 *4 2009 年 4 月ヤマハサウンドテック株式会社(連結) と不二音響株式会社(非連結) が合併 2010 年 3 月期よりヤマハサウンドシステム株式会社として連結 56 Yamaha Corporation 国内ネットワーク 1 製造・制作会社等 販売会社等 2 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 3 4 21 22 23 24 42 43 40 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 41 19 20 44 企業名 所在地 企業名 所在地 1 株式会社ヤマハミュージック北海道 北海道札幌市 23 株式会社ヤマハミュージックウインズ 静岡県磐田市 2 桜庭木材株式会社 秋田県北秋田市 24 ヤマハハイテックデザイン株式会社 静岡県磐田市 3 株式会社ヤマハミュージック東北 宮城県仙台市 25 ヤマハピアノサービス株式会社 静岡県浜松市 4 株式会社ヤマハミュージック関東 新潟県新潟市 26 ヤマハミュージッククラフト株式会社 静岡県浜松市 5 株式会社ヤマハミュージック東京 東京都中央区 27 株式会社ヤマハクレジット 静岡県浜松市 6 株式会社ヤマハホール 東京都中央区 28 ヤマハミュージックリース株式会社 静岡県浜松市 7 ヤマハミュージックトレーディング株式会社 東京都中央区 29 ヤマハリビングテック株式会社 静岡県浜松市 8 ヤマハサウンドシステム株式会社*4 東京都中央区 30 ヤマハリビングプロダクツ株式会社 静岡県浜松市 9 ヤマハエレクトロニクスマーケティング株式会社 東京都港区 31 株式会社ジョイエルホーム 静岡県浜松市 32 ヤマハファインテック株式会社 静岡県浜松市 33 株式会社ヤマハメディアワークス 静岡県浜松市 株式会社ヤマハミュージックエンタテインメント 10 ホールディングス 東京都渋谷区 11 株式会社ヤマハミュージックコミュニケーションズ 東京都渋谷区 34 株式会社ヤマハアイワークス*2 静岡県浜松市 12 株式会社ヤマハエーアンドアール 東京都渋谷区 35 株式会社ヤマハビジネスサポート 静岡県浜松市 13 株式会社ヤマハミュージックアーティスト 東京都渋谷区 36 ヤマハ保険サービス株式会社 静岡県浜松市 14 株式会社ヤマハミュージックパブリッシング 東京都渋谷区 37 株式会社ヤマハトラベルサービス 静岡県浜松市 15 株式会社ヤマハミュージックアンドビジュアルズ*3 東京都渋谷区 38 株式会社ヤマハファシリティマネジメント 静岡県浜松市 16 株式会社ヤマハミュージックメディア 東京都豊島区 39 株式会社ヤマハオフィスリンク 静岡県浜松市 17 株式会社エピキュラス*3 東京都豊島区 40 株式会社ヤマハミュージック東海 愛知県名古屋市 18 株式会社ベーゼンドルファー・ジャパン*3 東京都中野区 41 株式会社ヤマハミュージック大阪 大阪府大阪市 19 山梨工芸株式会社 静岡県掛川市 42 株式会社ヤマハミュージック中四国 広島県広島市 20 株式会社つま恋 静岡県掛川市 43 株式会社ヤマハミュージック九州 福岡県福岡市 21 ディーエス株式会社 静岡県袋井市 44 ヤマハ鹿児島セミコンダクタ株式会社 鹿児島県姶良郡 22 株式会社葛城 静岡県袋井市 (2009 年 7 月1 日現在) Annual Report 2009 57 ヤマハの歩み 1887 年 1950 年 1887 山葉寅楠オルガンを修理 創業 1960 年 1970 年 1953 山葉ホールオープン 1965 海外初の音楽教室開設(米国) 1970 日本管楽器(株)吸収合併 1954 ヤマハ音楽教室の始まり 1966 財団法人ヤマハ音楽振興会発足 1970 第 1 回東京国際歌謡音楽祭開催 (第2 回より「世界歌謡祭」と改称) (∼1989) 1967 第 1 回全日本ライトミュージック コンテスト開催 (∼1971) 1968 株式時価発行(日本初) 1889 (資)山葉風琴製造所設立 1897 日本楽器製造株式会社設立 1890 本社工場 1955 ヤマハ発動機(株)設立 (オートバイ部門を分離) 1959 宮竹工場(∼2000) 1972 第 1 回ジュニアオリジナルコン サート ( JOC )開催 1969 第 1 回作曲コンクール開催 (1972 年第 4 回より「ポピュラーソン グコンテスト」と改称) (∼1986) 1963 西山工場 (1991 ヤマハリビングテック (株) 事業の歩み 設立) 1970 埼玉工場 1970 豊岡工場 1965 掛川工場 1937 天竜工場 (1987 ヤマハファインテック (株)設立) 1974 米国楽器生産開始(∼2007) 1966 磐田工場 (1991 電子金属事業分社) 1969 台湾楽器生産開始(∼2009) 1974 豊橋工場(∼1995) 1976 鹿児島工場 (1987 ヤマハ鹿児島セミコンダ クタ (株)設立) 1977 インドネシア楽器生産開始 1908 中国に大連支店設立 1958 メキシコ現地法人設立 1960 米国現地法人設立 1909 共益商社(東京支店)設立 1973 フランス現地法人設立 1973 ブラジル現地法人設立 1975 スウェーデン現地法人設立 1975 パナマ現地法人設立 1966 ドイツ現地法人設立 1969 カナダ現地法人設立 1887 オルガン 1959 エレクトーン® D-1 (管楽器事業開始) 1965 トランペット 1973 ピアニカ® 1966 エレキギター、ドラム 1974 ミキシングコンソール PM-1000 1969 ボーカルアンプシステム VA-120 ( PA 機器事業開始) 1900 アップライトピアノ 1902 グランドピアノ 1914 ハーモニカ 商品の歩み 1921 外国製楽器、楽譜輸入販売 1903 高級木製家具 1921 木製プロペラ 1931 金属製プロペラ 1954 HiFiプレーヤー ( AV 機器事業開始) 1960 ボート 1954 オートバイ試作車完成 1961 FRP 製スキー(∼1997) (後にヤマハ発動機へ移管) (後にヤマハ発動機へ移管) 1961 鉄・アルミ合金 YFA / 銅チタン合金 YCuT(∼2007) 1964 鳥羽国際ホテルオープン (2007 譲渡) 1964 FRP 製バスタブ 1959 FRP 製アーチェリー(∼2002) 1972 半導体内製化 (∼1997) 1973 テニスラケット 1974 つま恋オープン 1974 ベリリウム振動板スピーカー NS-1000M 1975 システム家具(∼2005) 1976 システムキッチン (国産初の人造大理石カウンター) (2007 譲渡) 1967 合歓の郷オープン 1968 NSスピーカー 1976 葛城ゴルフ倶楽部オープン 1978 葛城北の丸 オープン 1979 はいむるぶしオープン (2007 譲渡) 58 Yamaha Corporation 1980 年 1990 年 1980 ヤマハピアノテクニカルアカデミー 2000 年 2009 年 2005 スタインバーグ社買収 (調律師養成学校)設立 2005 中国音楽教室展開 2007 不二音響(株)買収 2007 (株)ヤマハミュージックエンタテインメント ホールディングス設立 2007 第 1 回 Music Revolution 開催 1986 ポピュラーミュージックスクールスタート 2008 ベーゼンドルファー社買収 1987 ヤマハ株式会社に社名変更 2008 ヤマハレディースオープン葛城開催 1987 英語教室スタート 2008 ネキソ社買収 1987 第 1 回 Teens Music Festival 開催 (∼2006) 1990 中国楽器生産開始 2003 中国 AV 機器生産開始 1992 マレーシアAV 機器生産開始 1999 インドネシアAV 機器生産開始 1984 イギリス現地法人設立 1990 イタリア現地法人設立 2001 韓国現地法人設立 1986 スペイン現地法人設立 1997 UAE 現地法人設立 2002 中国持株会社設立 1986 オーストラリア現地法人設立 2002 欧州統括会社設立 2007 ロシア現地法人設立 2008 インド現地法人設立 1980 ポータブルキーボード 1991 コンサートグランドピアノ CFⅢS 1982 ピアノプレーヤ 2000 アコースティックバイオリン Braviol 1983 電子ピアノ クラビノーバ 2001 ミュージックプロダクションシンセサイザー MOTIF 1983 デジタルシンセサイザー DX7 1993 サイレントピアノTM 1995 サイレントブラスTMシステム 1987 ウインドMIDIコントローラー WX7 2000 着信メロディ配信サービス 1996 サイレントセッションドラムTM 1997 サイレントバイオリンTM 2001 サイレントギター TM ミュージック プレーヤー BODiBEAT 2009 ハイブリッドピアノ AvantGrand 2002 イージーギター EZ-EG 2003 歌声合成ソフト VOCALOID 2003 楽器レンタルシステム 2006 エレクトリック・アコースティックギター CPX900、APX900 2006 電子ピアノ MODUS H01 1989 防音室 AVITECS 2008 TENORI-ON 1982 システムバス (2007 譲渡) 1991 キロロオープン 2002 ゴルフクラブ inpres 1982 ゴルフクラブ (∼2000) 1991 薄膜磁気ヘッド 2002 マーブルシンク搭載システムキッチン 2004 デジタル・サウンド・プロジェクター YSP-1 1982 CDプレーヤー CD-1 1993 CDレコーダー(∼2003) 1983 半導体外販開始 1993 通信カラオケ 1983 FM 音源用 LSI 1995 リモートルーター 1983 グラフィックLSI 1997 マグネシウム成形部品 (2010 事業撤退予定) 1984 産業用ロボット 2009 インタラクティブ 1999 携帯電話用音源 LSI 2006 会議システム 1986 デジタル・サウンドフィールド・プロセッサー DSP-1 1989 自動車用内装部品 Annual Report 2009 59 組織図 取締役会 監査役会 監査役室 社長 楽器事業統括 ピアノ事業部 管弦打楽器事業部 経営会議 防音事業推進部 PA・DMI 事業部 全社委員会 SA 商品開発室 サウンド・IT 事業統括 AV 機器事業部 サウンドネットワーク事業部 半導体事業部 楽器・AV 営業統括 国内営業本部 アジア・パシフィック営業本部 北米地域販社 欧州地域販社 中国地域販社 (株)ヤマハミュージックエンタテインメントホールディングス プロダクティブテクノロジー事業統括 素材素子開発センター ヤマハファインテック (株) ゴルフHS 事業部 経営企画統括 経営企画室 内部監査統括室 広報部 経営管理統括 総務部 人事部 経理・財務部 法務・知的財産部 ヤマハ保険サービス (株) (株)ヤマハトラベルサービス プロセス管理統括 製造企画部 物流システム部 情報システム部 サウンドテクノロジー開発センター INFOサウンド開発推進室 デザイン研究所 開発戦略室 eヤマハ室 ヤマハリビングテック (株) (株)葛城 (株)つま恋 (2009 年 7 月1 日現在) 60 Yamaha Corporation 投資家情報 (2009 年 3 月31 日現在) 本社 会計監査人 〒430-8650 静岡県浜松市中区中沢町 10 番 1 号 新日本有限責任監査法人 設立 1897 年 10 月12 日 株主数 24,355 名 資本金 28,534 百万円 株主構成(株式数) 連結従業員数 26,803 人(うち臨時従業員年間平均雇用人員 6,735 人) 証券会社 2.6% その他国内法人 9.2% 政府・地方公共団体 0.0% 個人・その他 10.8% 連結子会社数 88 社 金融機関 56.0% 決算期 3 月31 日 外国人 21.4% 配当の基準日 期末配当の基準日 3 月31 日 中間配当の基準日 9 月30 日 大株主の状況 株式の状況 (普通株式) 発行可能株式総数: 700,000,000 株 発行済株式総数: 197,255,025 株 日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口) ヤマハ発動機株式会社 日本トラスティ・サービス信託銀行株式会社(信託口4G) 上場証券取引所 三井住友海上火災保険株式会社 東証第一部 コード番号 7951 株式会社みずほ銀行 株式会社静岡銀行 株主名簿管理人・特別口座の口座管理機関 中央三井信託銀行株式会社 名古屋支店 証券代行部 〒460-8685 愛知県名古屋市中区栄三丁目15 番 33 号 米国預託証券(ADR)預託機関 ドイツ銀行信託会社アメリカ ( Deutsche Bank Trust Company Americas ) 比率 1ADR=普通株 1 株 種類 Level-1 スポンサー付き シンボル YAMCY 米国証券コード 984627109 持株比率 日本トラスティ・サービス信託銀行株式会社(信託口) 住友生命保険相互会社 日本生命保険相互会社 株式会社みずほコーポレート銀行 6.77 5.69 5.18 5.14 4.52 4.45 4.23 3.70 3.29 2.93 株価の推移 (円) 3,000 2,000 公告の方法 電子公告 http://www.yamaha.co.jp/ ただし、事故その他やむを得ない事由によって電子公告ができない 場合は、東京都において発行する日本経済新聞に掲載 1,000 定時株主総会 6月 0 07/ 08/ 09/ 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 IR窓口 経営企画室 Tel:03-5488-6602 http://www.yamaha.co.jp/about/ir/index.html Annual Report 2009 61 ヤマハ株式会社 アニュアルレポート 2009 経営企画室 2009/8 カタログコード – CM91 このパンフレットは水なし印刷を採用し、 URL: http://www.yamaha.co.jp/ FSC認証紙と大豆油インキを使用しています。